ファーウェイ排除で躍進のサムスン5G基地局、Open RANで加速

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2021年6月28日から7月1日まで、モバイル業界最大級のイベント「MWC2021 Barcelona」(MWC)が2年ぶりに開催された。例年、スマートフォンの新機種発表で大きな注目を集める韓国Samsung Electronics(サムスン電子)だが、今回のMWCではオンライン出展でスマートウオッチのGalaxy Watchに搭載するOS「One UI Watch」を公開したのみ。スマホ新機種の公開がなかったことから、韓国では21年8月11日にサムスン電子がオンライン開催するスマホ新機種発表イベント「Galaxy unpack」の予告編と言われるぐらいで、例年よりも注目度は少なかった。

 代わりにサムスン電子で目立ったのが、5G(第5世代移動通信システム)基地局などネットワーク分野だ。サムスン電子のネットワーク事業部はMWC直前の21年6月22日、単独オンラインイベントを開催した。「Samsung Networks : Redefined」をテーマに、基地局用の次世代チップ3種と次世代高性能基地局、5G仮想化基地局(vRAN)ソリューション、6Gに向けた投資状況などを発表した。

 ネットワーク事業部社長(President, Head of Samsung Networks)のチョン・キョンフン氏は、「世界市場で400万台を超える5G基地局を供給した。強力な仮想化技術と20年以上独自にチップを設計した経験で速いスピードで成長している」「全てのモノと人をつなぐ超連結時代の加速化をリードする」と強調した。

韓国や日本、米国の通信事業者から続々と受注

 サムスン電子のネットワーク事業は、世界の通信事業者から5G基地局を立て続けに受注するなど絶好調だ。18年には韓国のSK TelecomとKT、LG U+という3社、米国のSprint(スプリント、現T-Mobile US)とAT&T、19年にはカナダVideotron(ビデオトロン)と日本のKDDI、20年には米国のU.S.CellularとVerizon Communications(ベライゾン・コミュニケーションズ)、カナダのTERUS(テラス)、ニュージーランドのSpark New Zealand、21年にはカナダのSaskTel(サスクテル)、日本のNTTドコモ、そして英Vodafone(ボーダフォン)といった具合である。

 中でも世界の通信事業者で売上高が1位のベライゾンとの契約は、66億4000万ドル規模(約7000億円)と、韓国通信装備分野における史上最大規模の単一輸出契約だとして話題になった。21年6月にボーダフォンから受注を決めたことで、北米とアジアが中心だったネットワーク事業を欧州にも広げた。

 ボーダフォンとの5G基地局契約は、基地局設備をオープンなインターフェースでつないでマルチベンダー体制で導入できる「Open RAN」技術に基づいたものだ。ボーダフォンは欧州初という大規模な商用Open RANを構築予定であり、サムスン電子はNECなどとともにそのパートナーに選ばれた。サムスン電子は、その中核となるOpen RANに準拠した仮想化基地局(vRAN)ソリューションなどを納入する。

 サムスン電子の仮想化基地局(vRAN)ソリューションは、汎用(はんよう)サーバー上でソフトウエアによる基地局機能を実現しながらも、ハードウエアベースの基地局とほぼ同じ性能を提供できるとしている。コンテナベースのアーキテクチャーを使用するため、ネットワークの効率的な管理と柔軟な展開を可能にするという。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

<<NIKKEI X TECH>>

2021. 7.

-Original column

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