マクドナルドの好決算も後押し? BTSを支える熱狂的ARMYの影響力

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発表する新曲がことごとくチャート1位を獲得し、度々話題になる韓国ボーイズグループ「BTS(防弾少年団)」。世界的な人気は尽きることが無く、その影響は音楽やファッション、フード業界にまで波及している。その人気を支えるARMYの働きについて、ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが解説する。

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 BTSが8月11日、今年3月に開催された米「第63回グラミー賞」授賞式に続き、9月に開催される米「2021 MTV Video Music Awards(VMA)」に、「最優秀楽曲賞(Song of the Year)」をはじめ「最優秀ポップ(Best Pop)」、「最優秀K-POP(Best K-POP)」など5部門にノミネートされ、またしても話題を呼んでいる。

 VMAは、米MTVが開催する権威ある音楽授賞式で、BTSはこれまでにも2年連続でノミネートされている。グラミー賞では惜しくも受賞を逃しただけに、今年のVMAでは3年目の受賞となるかに大きな注目が集まっているようだ。受賞作品やアーティストはオンライン投票で決まるため、TwitterなどのSNSでは早速世界中のARMY(ファンの呼称)たちの熱心な投票の呼びかけが始まっている。

 BTSの世界的人気はもはや誰もが知るところだ。直近では今年6月、約2週間にわたり開催されたデビュー8周年を記念する祭典「BTS FESTA 2021」でも、その人気ぶりが見られた。様々な衣装を着たメンバーのかわいい集合写真や振り付け動画など、毎日新しいコンテンツが公開され、目玉として開催されたオンラインコンサート「BTS 2021 MUSTER SOWOOZOO(小宇宙)」には、世界195か国、約133万人が視聴。視聴料だけで約790億ウォン(約75億円)の売上を記録した。

 コロナ禍のため、メンバーは無観客でのライブだったが、その代わりに大型ディスプレイにライブを楽しむARMYの姿を生中継で映し出す「ARMY On Air」や、ARMYたちがBTSの曲を歌う声や声援を録音してライブ中に流す「ARMY in echo」など、まるで実際に観客とライブ会場にいるかのような演出をしていたのが面白かった。観客の笑顔にBTSメンバーも元気を貰ったようで、「ARMYとひとつの空間で息が出来る日を待っています。その日までみんな元気を出しましょう」とコメントしていた。

マクドナルドの売り上げが4割増

 BTS FESTAの期間中、韓国ARMYが集まるファンコミュニティではデビュー8周年記念ということもあって、「BTSトクバプ(釣り用の餌、好きなアイドルに関する新情報の意)が溢れるこの時期は忙しい!」、「トクバプを1つも逃したくないからFESTA中は一切予定入れない」、「血と汗と涙を流しながら一歩ずつ成長する姿を見守れて嬉しい。心で育てた我が子達!」といったARMYたちの生き生きとした声で溢れていた。

 また、BTSからトクバプをもらうだけで終わらないのがARMYである。BTSへのプレゼントの代わりに「#BTS8thAnniversary」のハッシュタグでユニセフや子供病院、動物団体などへ寄付したことを報告。日本のARMYもユニセフに寄付し話題になった。

 さらに、熱狂的ARMYの影響力は企業にも波及している。米マクドナルドが世界49か国の店舗で発売したコラボメニュー「The BTS Meal」は、世界中で爆発的な人気に。韓国ではナゲットの1日の平均販売量が前月比250%増加し、インドネシアでもあまりに多くの注文が殺到したことで複数の店舗が一時営業停止の騒ぎにまでなったという。マレーシアでも、コラボ限定パッケージを保管するための容器を持参するファンが続出したそうだ。

 マクドナルドが7月28日に発表した第2四半期決算は、コロナ禍にもかかわらずグローバルでの売上高が対前年比40.5%増という驚異的な数字に。この要因のすべてがBTS効果ではないかもしれないが、コラボが売り上げを後押ししたのは間違いないだろう。韓国放送局MBCは、「BTS Mealがあまりにも人気で、激務に疲れたアルバイトたちがPTSD(心的外傷後ストレス障害)ならぬ“BTSD”を訴えている」と紹介していた。

 BTSは、昨年9月に英語曲『Dynamite』が米Billboardのシングルチャートで首位を達成したのに続き、新曲『Permission to dance』、『Butter』でも初登場1位を獲得。Billboard史上初登場1位は54曲しかないという。『Butter』は9回1位となり、8月7日時点で2021年で最も長く1位をキープした曲になった。数々の記録を打ち立てるBTSの快進撃はまだ続きそうだ。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

NEWSポストセブン》

2021. 8.

-Original column

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