2023年4月19日から21日にかけて韓国最大規模のIT展示会「World IT Show 2023」(WIS 2023、ソウル市COEX展示場)が開催された。主催は韓国のICT政策を担当する科学技術情報通信部(「部」は日本の「省」に当たる)、後援は産業通商資源部である。同展示会は、韓国の大手企業からスタートアップに至るまでが自社の技術力を一般消費者やバイヤーにアピールする場となっている。
2023年に15回目を迎えたWIS 2023は、「世界の日常を変えるKデジタル」をテーマに約460社が出展した。マスク着用の義務が解除されたこともあり、久々に新型コロナウイルス感染症パンデミック(世界的大流行)以前の活気を取り戻した。各国の駐韓大使や大使館職員向けの展示会ツアーが主催者の科学技術情報通信部によって行われるなど、輸出商談会にも力が入っていた。
展示ブースで最も人を集めていたのが韓国を代表する2社のSamsung Electronics(サムスン電子)とLG Electronics(LGエレクトロニクス)である。いずれもモバイル端末やスマート家電を中心に、1990年代半ば以降に生まれたZ世代の新たなライフスタイルを提案するコンセプト展示が人目を引いた。
日常のイノベーションを強調したサムスン
今年(2023年)のサムスンは例年と違って伝統的な家電を一切展示せず、韓国で最も人気の最新スマートフォン「Galaxy S23」による日常のイノベーションを強調した。展示会の同社ブースではキャンピングカー、大学の講義室、ワンルームマンションを再現したコーナーに、Galaxy S23やノートパソコン、タブレットPC、ワイヤレスイヤホンなどのモバイルデバイスを置いて、Z世代の日常生活を再現していた。Z世代の生活の中心にスマホを据えて、サムスンのデバイスがもたらす利便性をアピールした。テレビがなくてもGalaxy S23で十分に動画やゲームを楽しめることも強調した。
Galaxy S23の各種機能を体験できるコーナーの一つに、ネオンサインが輝く夜の街をイメージした暗い一角があった。100倍ズームや暗闇の中でも明るく鮮明に撮影できる機能をアピールするためのコーナーだ。このほかサムスンは持続可能なライフスタイルとして環境問題を意識し、ブースを設置する際にリサイクル可能な木材を使ったり、廃プラスチックでキーリングを作る記念品コーナーを設けたりもした。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
(NIKKEI TECH)
2023. .4
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