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Samsung Electronics社は2014年9月2日、超音波診断装置などを手掛ける医療機器メーカーで子会社のSamsung Medison社と合併を検討していると発表した。韓国メディアが2社の合併について報道したことから韓国証券取引所がSamsung Electronics社に事実確認を要請し、同社が「当社はSamsung Medison社との合併などについて検討中だが、まだ確定していない」と正式に公示した格好である。
Samsung Electronics社がSamsung Medison社との合併を否定しなかったのは、合併に向けた話し合いがかなり進んでいるためと見られる。一部のメディアは、2014年内にSamsung Electronics社がSamsung Medison社を吸収合併するか、あるいはSamsung Electronics社内の医療機器事業部に加え、Samsung Medison社などこれまでに買収した医療機器メーカーをすべて合併した別の子会社を作るようだと報道している。
Samsungグループは現在、組織再編の真っただ中。例えば、サムスン重工業とサムスンエンジニアリングを合併するなど、似たようなビジネスをしている系列社を次々に合併している。
Samsung Electronics社は2010年5月、新規事業として2020年までに医療機器に集中投資すると発表し、2011年にMedison社を買収した。Medison社はSamsung Medison社に社名が変わり、Samsungグループの会社となった。
Samsung Electronics社内には医療機器事業チームがあったので、2011年の買収当時からSamsung Electronics社とSamsung Medison社が合併するという話があったが、Samsung Electronics社は否定し続けてきた。しかし2012年末、Samsung Electronics社の医療機器事業チームは医療機器事業部に昇格し、医療機器事業部の代表がSamsung Medison社の社長を兼任することになった。Samsung Electronics社はこの時から既に、Samsung Medison社との合併を念頭に置いていたのかもしれない。
Samsung Electronics社は合併が確定したわけではないというが、既にSamsung Medison社の海外販売法人はSamsung Electronics社の海外法人と統合している。2014年6月に発売した新製品からは、Samsung Medison社の独自ブランド「UGEO」ではなく、「Samsung」ブランドで販売している。
合併は時間の問題
韓国の証券街では、Samsung Electronics社がSamsung Medison社と合併しようとしたのは2013年11月からではないかと推測している。当時、Samsung Electronics社の副会長(クォン・オヒョン氏)は、「Samsung Electronics社の技術力を医療機器に適用すれば素晴らしい製品を作れる。10年以内に医療機器市場のリーダーになる」と発言した。これを受け、Samsung Electronics社がSamsung Medison社と合併してシナジー効果を出すという意味ではないかと話題になった。
調査会社Espicomの「Medistat Worldwide Medical Market Forecasts To 2017」によると、世界医療機器市場規模は毎年10%ずつ成長し、2017年には4344億米ドルになる見込みだ。高成長が期待されている医療機器市場だが、GEやSiemens、Philips、Johnson & Johnsonなど、欧米企業が市場をリードしている。Samsung Medison社の売上高はこれら欧米大手企業の1/10程度に過ぎない。Samsung Medison社が単体でこれら欧米企業と競争するのは難しい状況である。
Samsung Medison社としては、スマートフォンや家電市場で世界1位をキープしているSamsung Electronics社と合併すれば、同社の高度な技術と営業ネットワークなどのノウハウを活用できるようになる。一方、スマートフォンなどの事業が下降気味のSamsung Electronics社としても、早く次の戦略を見つけないといけない。こうした中、韓国ではSamsung Electronics社とSamsung Medison社の合併は時間の問題で、この合併をきっかけにSamsungグループが医療機器事業にさらなる巨額の投資をする可能性も高いと見られている。