「韓国スマートヘルスケア最前線」 Samsungが圧倒的存在感、7万人集めた医療機器展示会 [2015年03月23日]

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2015年3月5~8日、韓国ソウル市COEX展示場で「Korea International Medical & Hospital Equipment Show」(KIMES:国際医療機器・病院設備展示会)が開催された。KIMESは韓国で最も規模の大きい医療機器展示会で、31回目を迎える。今回は34カ国1145社が出展し、海外バイヤー3039人を合わせて約7万2000人が参加した。会場では、複数のイベントが同時開催された。医療機器業界の代表や総合病院院長、政府機関が参加した懇談会や学術フォーラム、セミナーなどである。

Samsung Medison社が出展した超音波診断装置のプレミアムモデル「RS80A with Prestige」
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 とりわけ大盛況だった催しが2つある。一つは、韓国の保健福祉部(部は省)と産業通商資源部の担当者が講師として参加した、医療機器育成案と規制緩和に関する説明会。もう一つは、中国およびロシアの政府関係者と専門家を講師に招き、両国の医療機器規制の変更内容を学び、輸出戦略を立てるためのセミナーである。

 この他、(1)患者の動線を考えた病院建築や空間デザイン、(2)患者空間と救急室のサービスデザイン、(3)医療分野での3Dプリンティング技術と臨床適用事例、(4)遺伝子・人工知能・ウエアラブルなど医療工学の未来技術、(5)保健医療ビッグデータ活用案と分析法、(6)医療分野でのSNS活用など、医療関係者を対象にしたセミナーも多数開催された。

 機器展示については、目玉はやはり韓国Samsung Electronics社と韓国Samsung Medison社の新製品だった。デジタルX線撮影装置や超音波診断装置など、新製品を含む9種類の医療機器を展示した。会場を訪れたSamsung Electronics社 医療機器事業部部長(社長)のチョ・スイン氏(Samsung Medison社長を兼任)は、「ITと映像技術を駆使し、使いやすい医療機器を世界中の病院に提供する」とコメントした。

機能てんこ盛りのデジタルX線

 Samsung Electronics社は、2015年2月に韓国と西ヨーロッパで発売したデジタルX線撮影装置「GC85A」と「GM60A」を披露した。優れた映像品質や、患者がいるところに移動して使える優れた患者接近性などを強調していた。


Samsung Electronics社のデジタルX線撮影装置「GC85A」
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 これらの新製品には、雑音を除去して画質を改善する画像処理技術「S-Vue」や、防水・防凍機能で耐久性を高めた超軽量の「S-detector」などを搭載している。節電機能も備える。待機状態では節電モードに切り替わり、稼働時の半分の電力しか使わないという。

 GC85Aはプレミアムモデルと位置付ける製品で、一度のボタン操作で撮影位置の調整、撮影ポジション設定などレントゲン撮影に必要な設定が流れ作業で行える。レントゲン技師の動きを最小限にとどめ、素早く撮れるのが特徴だ。撮影角度を自由に設定できるので、体が不自由な患者のレントゲンも安全に素早く鮮明に撮影できるようになった。体内に移植した金属製補形物による陰影を最小限にとどめ、血管や関節などが重なる部位も鮮明に高画質で撮影できるという。

超音波/CT/MRIの画像を重畳

 Samsung Medison社は、複数の機能を持ち合わせたプレミアムモデルを出展。2015年4月に発売予定だとした。

 出展した超音波診断装置「RS80A with Prestige」は、既存機種「RS80A」を改良したプレミアムモデル。映像品質を改善したことに加え、病変の正確な位置を探せるように、1~2秒という短時間で超音波画像にX線CT画像とMRI画像を重ねて比較分析できる「S-Fusion」機能を搭載した。同じ部位を写した異なる種類の診断画像を重ねるのは従来、時間のかかる作業だったという。

 この他、体内組織の硬さを素早く正確に測定し、医師の熟練度に関係なく客観的なデータで診断できるようにした「S-Shearwave」機能、リアリティーのある3D・4D映像で微細な突出部位までも確認できる「Natural Vue」機能なども搭載した。

 同社はこの他、大型病院向けプレミアム超音波診断装置「WS80A with Elite」、医療現場で使えるタブレット型超音波診断装置「PT60A」、ノートパソコン型超音波診断装置「HM70A」、手術室内で素早く撮影できる移動型X線CT装置「BodyTom」(Samsung Electronics社が買収したNeuroLogica社製)を出展した。



By 趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」
日経デジタルヘルス
 -Original column

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