アップルのラッキーバッグで燃えた1日、日本と比べて中身は… [2013年2月4日]

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2013年1月31日、アップルのラッキーバッグ(福袋)に韓国のTwitterユーザーが燃えた。1月8日にはスターバックスのラッキーバッグで燃えていたので、韓国人って結構福袋好きなのかもしれない。スターバックスのラッキーバッグは4万5000ウォン(約3800円)。タンブラーのサイズ別に3個、飲み物チケット(どのメニューもトールサイズで注文できる)7枚、キーホルダーのようなノベルティ、ダイアリー手帳などが入っていて、かなりお得だった。

 2007年から始まったスターバックスのラッキーバッグは韓国ではほぼ初めての福袋。最近は「ラッキーバッグ」という名前で福袋がかなり広がり、在庫処理用によく使われている。韓国では、福袋は日本が元祖で、江戸時代に始まったものとして知られている。


 今度はアップルのラッキーバッグだ。1月31日午後12時から販売開始するラッキーバッグ目当てに、ソウル市内明洞と江南にあるアップルのリセラー「Frisbee」前には久々に徹夜組が登場し、早朝からテレビのニュース番組が取材に来るほどの大騒ぎとなった。このラッキーバッグ、韓国のリセラー側が店舗オープン4周年記念イベントとして企画したものである。正規Apple Storeの福袋は世界中で日本にしかないようだ。






ラッキーバッグ販売告知ポスター。リセラーの4周年記念イベントとしてラッキーバッグが販売された



 韓国のラッキーバッグは3万ウォン(約2500円)で、中身はアップルのアクセサリーやバッグ、ヘッドフォンがメインだという。MacBook AirやiPad miniも入っているといううわさがTwitterで広がり、この騒ぎになったのだ。30日まで羅老号ロケットの打ち上げ成功で盛り上がっていたTwitterは、31日にはもうすっかりアップルのラッキーバッグに何が入っていたのかに話題が移った。スターバックスのラッキーバッグは外れなし、どれもお得だったのでアップルもそうだろうと期待した。


 アップルのラッキーバッグは先着500人限定で、受け付けで番号が書いてあるUSBをくじ引きし、USBに書いてある番号のラッキーバッグを買うという仕組み。徹夜で早く並んだ人がいいものをもらえるというわけでもなかった。どのラッキーバッグにしようかな~と重さを量ったり、触ってみたりする楽しみはなく、本当にラッキーなのかどうか運試しのような福袋だった。


ラッキーバッグは家に帰って開けるのかと思ったら、その場で店員と一緒に福袋をオープンして中身を確認し、MacBook air やiPad miniに当たったのは誰かを公開した。MacBook Airに当たった人は感激でぶるぶる震えながらテレビのニュースに出た。

 「アップルの在庫処分品をお金払って買う人がいるなんて」と冷ややかなつぶやきも多いが、徹夜組は「ラッキーバッグ=おみくじのようなもので、どきどきする」と楽しそうだ。


 しかし袋を開けてみると、MacBook AirやiPad miniに当たったという人は500人の中に2~3人。アクセサリーやバッグが当たったという人すらあまり見かけない。ほとんどがApple Storeで使える3万ウォン分のプリペイドカードとボールペンという残念な中身だった。


 「3万ウォンの福袋に3万ウォン分しか入っていないなんてひどい…」、「アップルのラッキーバッグなのに、スタークラフトゲームCD(Blizzard社のネットワークゲーム)が入っているとは、どういうこと?」と怒りのつぶやきをFrisbeeのTwitter宛に残す人もいた。韓国のTwitterでは、日本のアップルのラッキーバッグが話題だ。3万3000円と値段は韓国の10倍以上するが、ちゃんとアップルの製品が7万円分以上は入っていたとかで、「さすが福袋の元祖の国は違うね!」と羨ましがっている。


 アップルのラッキーバッグ、一晩の思い出で終わるかと思ったら、韓国のマスコミは、福袋マーケティングは良くないという方向へ話を持っていき始めた。経済的に不安なほど人は運に任せようとする傾向があるので、福袋が人気なのは社会や経済が不安だからなんだとか。福袋マーケティングは一獲千金を狙うギャンブルに近いので青少年に悪いという話まで出始めた。そこまで深刻に考えなくてもいいんじゃないかな~。




趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130203/1078363/