韓国ドラマの原点で見つけた初々しいヨン様 1996年6月から1997年4月まで、なんと66話も続いたこのドラマ「初恋」は、前代未聞の65.8%という視聴率を記録しました。第1話から最終回まで、ずっと視聴率1位をキープした伝説のドラマです。 「初恋」の中でヨン様が演じるチャヌは、法学部に通う大学生でありながら家族の生計を支えるためにカジノで働きます。外国語も堪能で成績も優秀なチャヌを周囲の人は「怪物」と呼びますが、このドラマこそ本物の怪物! 放映されてから13年が過ぎた今でも、視聴率の記録は塗り替えられていないんですよ(そういえば、「法学部の学生はこんなに勉強しないといけないの!?」とびっくりしてしまうほど、チャヌはいつも図書館か屋根裏部屋で勉強していましたね。本を前に真剣な表情をしているヨン様もカリスマ性があってス・テ・キ!)。 このドラマでヨン様はトレードマークだったメガネを外し、「青春スター」、「美少年」、「甘い微笑」といった今までのペ・ヨンジュンを象徴するイメージから脱皮するかのように、筋肉質でタフでミリタリールックが似合う、危なっかしいキャラクターのチャヌに変身しました。ちやほやされるスターから俳優になるために果敢にすべてを捨てたことで、KBS演技大賞優秀演技賞・人気賞、百想芸術大賞人気賞を受賞し、着実にキャリアを積んでいきました。 チャヌのミリタリールックは、当時、韓国の男性のあいだで大ヒットしました。徴兵制の影響から軍服に似たミリタリールックは禁止されていましたが、チャヌのようなカジュアルに着崩したスタイルはすんなりと受け入れられたんです。これもヨン様パワーですね。 首のあたりが伸びきったセーターでも、チャヌが着るとたちまちボヘミアンルックに早変わり~。ドラマの衣装はスタイリストの方が毎回用意してくれるから、貧乏な役なのに衣装がブランド物だったりしてひんしゅくを買う俳優さんもいますが、驚いたことにチャヌはちゃんと同じ服を何度も着回ししていて、苦学生という役をファッションで現わしていたんですよ。チャヌのファッションをチェックするのも、おもしろかったんです。 66話という長編を終えて、最後の最後の場面に流れるヨン様のナレーションは、今でも忘れられません。ヨン様の微笑にばかり気を取られていましたが、「声もこんなにセクシーで心地よかったなんて!」とドキッとさせられました。 ドラマが始まったときには脇役でも、いつもドラマが終わる頃には主人公よりも注目されてしまうほど、ヨン様の魅力が開花します。このドラマでも「あの笑顔の人」、から「俳優ペ・ヨンジュン」としてひと回りもふた回りも成長しましたね。 ドラマのタイトルは「初恋」ですが、テーマはどんなことがあっても変わることのない家族愛、絆でした。誰よりも純粋で優しくて弟達のためにすべてを犠牲にする姉、貧しい家庭の長男に生まれ画家になる夢をあきらめ、食べていくために働き続けるチャンヒョク、家族を守るためならどんなことでもしてしまうチャヌ。この家族を中心に、チャンヒョクの親友トンパルの友情、シンジャの母親の愛とチャンヒョクの一途な愛が描かれました。そして、貧しい家庭やビジネスやお金にシビアな裕福な家庭、うまくいっていないような家庭など、どんな家庭にも家族愛があり、家族を愛する気持ちはみんな一緒であることを見せてくれました。 「初恋」がここまでの高視聴率を獲得することができたのは、やはり世代や性別を超えて共感できる家族の物語だったからとしかいいようがないですよね。家族を大切に思う気持ち、どんなことがあっても壊れることのない家族の絆、田舎から都会へ出てきた若者の奮闘、貧富の差は身分の差につながるという現実、幼い頃から守り続けてきた初恋、かなわないと知りながらもあきらめることのできない恋・・・当時「初恋」にハマった30代後半から40代のみなさんは、「これはまさに私の話!」と叫んだそうですよ。 それに、あの有名な故チョ・ソヘ先生の脚本であるだけに、ストーリーの軸がとてもしっかりしていて、チャンヒョクとチャヌ兄弟を取り巻く脇役といえども、それぞれの人生があってはっきりとしたキャラクターを持っていました。親指で鼻を触るトンパルのしぐさやシンジャの口癖も、国民的流行になったものです。 もうすぐアニメ「冬ソナタ」も公開されますが、ヨン様とジウ姫が初めて共演したのはご存知のとおり、この「初恋」でした。ふたりともまだ新人だったのに、今や世界の韓流スターになりましたね。そしてもうひとり、このドラマに出演している韓流スターがいます。ヒョギョンが家庭教師をする場面で、登場する生徒。誰なのか気づきましたか? まだ中学生ぐらいにしか見えない幼いあの美少女が、のちに「秋の童話」、「ホテリアー」、「オールイン」に出演するソン・へギョさんです! 驚きでしょう? ドラマがこれほどまでに高視聴率を記録すると、ドラマに関連することは何でも流行しました。ロケ地だった北漢江周辺の散歩道も、一大名所になりました。ソウル都心から車で1時間~1時間30分ほど離れた漢江の上流にある、首都圏でありながらもきれいな自然が残された癒しスポットで、川沿いには自転車レンタルショップやカフェが建ち並び、チャンヒョクとヒョギョンのようにデートを楽しむカップルで賑わったものです。今でもキャンプやバーベキュー、水上レジャーを気軽に楽しめる場所としてソウル市民に愛されています。不自由な脚をひきずりながら歩くチャンヒョクを泣きながら見守るヒョギョン……。最終回のあのシーンの撮影が行なわれたパルタンダムもこの近くです。 エピソードの尽きない「初恋」、次回はその主人公達をご紹介しましょう。
ニッコリア
Cho!エンタメコラム
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