コンパニオンもアピール! 韓国最大のIT展示会、3Dとスマートフォンが目白押し

2010年5月25日から28日にかけて、韓国最大規模のIT展示会であるWorld IT Show2010がソウルで開催された。18万人が訪れた今年のテーマは「Feel IT SEE the Next」。サムスン、LG、KT、SKテレコムなど、韓国の主な情報通信企業が一堂に集まり、新製品やサービスを紹介した。

 今年はなんといっても3Dとスマートフォンが主役で、どのブースに行っても3Dテレビとスマートフォン、それに合わせたコンテンツとサービスが展示されていたほどである。


 普通の絵本に見えるのに、スマートフォンのカメラをかざすと3Dのキャラクターが登場して絵本の一場面を演じるものや、3Dで臨場感あふれるオンラインゲームとノートパソコンを展示したコーナーは人だかりで近寄れないほどだった。



3Dテレビのタワーがぐるぐる回っていたサムスンのブース


 サムスンは3Dキューブといって、55インチの3Dテレビを9台ずつ四角いタワーのように積み上げ、360度ぐるぐる回転させていた。4つの面からはそれぞれ違う3D映像を流していた。専用のメガネをかけて口をぽかんと開けて3Dテレビに夢中になっている観覧客を見るのも面白かった。会場にはメガネなしでも楽しめる3Dテレビもあった。これからはテレビに限らず、パソコンやスマートフォン、携帯電話も3Dコンテンツで勝負することになりそうだ。Googleテレビに負けない機能てんこ盛りのスマートテレビも展示していた。IPTV、3DTV、スマートフォン、すべてのデバイスから利用できるようにするというアプリケーションストア「サムスンAPPS」にも力を入れている様子。


 韓国の3Dテレビ技術は世界最強と言われているそうで、グーグルがテレビのエンジニア探しにWIS2010にやってきたことも話題になった。


 サムスンが独自に開発したOS「BADA」を搭載したスマートフォン「WAVE」や、日本でもNTTドコモから発売される予定の「ギャラクシーS」も展示され、大変なにぎわいを見せていた。サムスンもLGも「打倒iPhone!」とばかりに強烈なパワーで次々にスマートフォンを発売しているが、訪れた客の多くは「やっぱりiPhoneの方が使いやすいかも」という微妙な反応を見せていた。


韓国の3大IT輸出品目は半導体、ディスプレイ、携帯電話端末である。ところが、韓国の経済産業省にあたる知識経済部の「2010年5月輸出入動向」によると、iPhoneが発売されてから韓国産端末の輸出は前年同期比で29.2%減り、iPhoneをはじめ海外メーカーの端末輸入が128%増と大きく伸びている。韓国産の携帯電話はまだフィーチャーフォンが中心なので、世界の動向からしてこれからスマートフォンの割合を伸ばさないと収益は落ちるしかない。そのためどのメーカーもスマートフォン一色、必死になっているのだ。


 最大キャリアのSKテレコムはAndroidを搭載したスマートフォンを前面に出し、KTのiPhoneと競争。緑色をした巨大なアンドロイドのキャラクター人形に真っ赤なワールドカップのTシャツを着せてアピールしていたものの、インパクトがありすぎてちょっと不気味だった。SKテレコムは「アルファライジング」といって、キャリアでありながらも通信以外の分野で収益を上げるとしており、アプリケーションやスマートフォンを利用したモバイルオフィスなどB2Bにも力を入れている。


 KTはあえてiPhoneよりも、モバイルインターネットを使った多様なサービスを宣伝する展示にしていた。ICカードを利用する子供向け小型教育ロボットも注目を浴びた。ICチップが内蔵された絵本を目の前にかざすと読みあげてくれる。お母さんと書かれたICカードをロボットにかざすと、登録されたお母さんの携帯電話につながりロボットを利用してテレビ電話を利用できる。ロボットは防犯カメラ機能もあり、携帯電話から遠隔操作もできるので、共働きの親が一人で家にいる子供の様子を見守ることもできる。最近力を入れている電子ブックやIPTV、地域連動生活情報サービス、Wibroを無線LANの信号に変えてくれるEggも展示された。でもやっぱり一番人が集まったのはiPhoneを使って演奏するバンドが登場した時だったのを見ると、まだまだ「iPhoneショック」は続いているようだ。


 2010年はワールドカップが開催される年だけに、公式サポーターである「赤い悪魔」のTシャツを着た企業のキャラクターやイベントコンパニオンのお姉さん達が目立っていた。日本では展示会のイベントコンパニオンといえば女性というイメージが強く、展示会に出品された製品ではなく彼女たちの写真を撮りまくっている男性をよく見かける。一方、ここWIS2010ではモデルのようなイケメンが新機種のスマートフォンやノートパソコンを説明してくれるブースも登場した。


 IT展示会といっても市内の繁華街で開催されるのでアクセスがいい。そのせいか、高校生や大学生の団体、家族連れ、ランチタイムを利用して遊びに来た感じのOLや買い物途中の主婦など、入場者の年齢も職業も幅広い。女性客が多いだけにイケメンがやさしく使い方を教えてくれる新製品の宣伝は効果的だったかも。


 展示会は来年も5月に開催される予定なので、世界が注目する最先端のIT製品はもちろん、市場のように活気あふれる韓国ならではのWIS2011を見学してみるのはいかがでしょうか。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年6月3日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100603/1025288/

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