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韓国Samsung Electronics(サムスン電子)の最新フラグシップスマホ「Galaxy S22」(以下、S22)の販売が2022年2月25日から韓国で始まった。韓国SK Telecom(SKテレコム)など大手通信事業者3社は、22年2月14日から予約販売を開始。S22は、前機種であるGalaxy S21(以下、S21)と比べて予約が3倍以上となるなど出足は好調だ。中国・小米科技(Xiaomi、シャオミ)などの追い上げで、スマホ世界シェア1位キープが危うくなっていたサムスン電子だが、S22の予想以上のヒットでほっと胸をなで下ろしたところだろうか。
S22シリーズは、前機種のS21から価格を据え置き、ディスプレーやカメラ、アプリケーションプロセッサー機能などを全体的に向上した。アプリケーションプロセッサーは、Galaxyスマホで初となる4nmプロセス技術を使ったアプリケーションプロセッサー(国によって米QualcommのSnapdragon8Gen1か、サムスン電子のExynos2200)を採用。AI(人工知能)処理専用のプロセッサー「NPU(Neural Processing Unit)」も活用することで、S21よりも約2倍の処理速度を実現したという。イメージセンサーもS21より約23%大きくし、暗い場所での撮影でも多彩な色彩を表現できるようにした。
前機種のS21は、その前のGalaxy S20との違いが分からないという評価が多かった。S22ではその反省を教訓に、手堅く機能向上を図ったようだ。
S22シリーズはディスプレーサイズが6.1型のS22と6.6型のS22+、6.8型のS22 Ultraの3種類を用意した。予約販売で最も人気が高いのが、最もディスプレーサイズが大きいGalaxy S22 Ultraだ。SKテレコムは予約分の70%、韓国KTは67%、韓国LGU+は53%がS 22 Ultraとのことだ。3社とも予約者は30~40代の男性が圧倒的に多いという。
S22 Ultraは、コアなファンが多い「Galaxy Note」の特徴である電子ペン「Sペン」を本体に収納できるデザインを引き継いだ。これがNoteファンの心を動かしたようだ。S21もSペンを扱えたものの、本体に収納できず不便だった。Sペンの機能も改善しており、反応速度がより速くなり、思い通りに字を書いたり絵を描いたりしやすくなった。80カ国語の手書き文字を認識しテキストに変換できる。
韓国のSNSでは、19年発売のGalaxy Note 10や18年発売のGalaxy Note 9からS22 Ultraに乗り換えたという書き込みが目立った。ついにNoteファンを満足させるスマホが登場した喜ぶコメントが多かった。S22 Ultraの売れ行きが好調なことから、韓国内で、折り畳み形態が特徴のスマホ「Galaxy Z」シリーズにもSペンを収納できるモデルを投入するのではないかという報道もあった。
S22 Ultraの背面カメラは、Galaxyシリーズで最大となる1億800万画素と1200万画素、1000万画素2つのクアッドカメラを採用した。暗いところで撮影すると、光が反射して映り込むフレア現象を改善したのが特徴だ。SNS投稿のために写真や動画の画質を重視するユーザーが多いことから、フレア現象の改善は、S22 Ultraの先行レビューでも高く評価されていた。写真に写りこんだ影や光の反射を消すAI消しゴム機能も話題だった。
S22シリーズは、Galaxy Zシリーズと同様に、アーマーアルミニウム(Armor Aluminum)、ボディーの前後面に、米Corning(コーニング)製の強化ガラスを使い耐久性を強化した。S21ではポリカーボネートを採用し、本体が安っぽいという不満が漏れていたことを意識したようだ。
S22 Ultraは、レッドとスカイブルー、グラファイトの3色をサムスン電子のホームページで販売する限定カラーにした。この3色は、予約販売初日に完売した。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
(NIKKEI TECH)
2022. 2.
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