サムスンが「ATIV」シリーズを初披露、Windows 8への関心高まる

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2012年8月31日から9月5日までベルリンで開催した家電展示会「IFA」で注目を浴びたのは、スマートフォンとタブレットPC、Windows 8のノートパソコン、ウルトラブックといった「スマート」デバイスだった。

 サムスン電子は「Smarter Life, Now」、LGは「ABOVE AND BEYOND」をテーマに参加。同社は韓国だけでなく世界各国のブロガー記者もベルリンに招待し、同社の展示内容を取材するようにサポートした。韓国の熱血ブロガー達が現地で一日数十件もIFAの展示内容を写真と動画でポストしてくれたおかげで、IFA会場にいるかのようにリアルタイムで展示会を楽しめた。








混み合うサムスンのブース



 中でも韓国で話題だったのは、サムスン電子の「GALAXY Note 2」(5.5型の大画面スマートフォン)と「GALAXY Note 10.1」(タブレットPC、前々回のコラムで紹介)、GALAXYカメラ(撮ってすぐ編集してネットに送信できるスマートカメラ)、初めて公開したWindows 8のノートパソコンだった。LGはウルトラブックと3Dディスプレイが話題だった。



IFAをきっかけに一気にWindows 8への関心が高まる


 公開されたサムスンのWindows 8搭載端末は、11.6型のコンバーチブルPC「ATIV Smart PC Pro」と「ATIV Smart PC」、10.1型のタブレットPC「ATIV Tab」、4.8型の800万画素カメラ付きスマートフォン「ATIV S」の4種類である。ATIV Sは展示会前のイベントで公開しただけで、展示会場では公開しなかった。









IFAで初公開となったサムスン電子のWindows 8スマートフォンとノートパソコン(「ATIV」シリーズ)










ATIV Smart PC Pro。ブロガー記者もプロの記者も、起動が速い、軽い、ディスプレイがきれい、とほめちぎっていた



 「ATIV」という前は、「Life」という意味のラテン語「VITA」を逆さにした。あなたのモバイルライフをより豊かにします、という意味を込めたというが、ドイツでも韓国でもGALAXYに比べて発音しにくい、インパクトがないと評判がよろしくない。


 コンバーチブルPCはタブレットPCにキーボードを装着するような形で、タブレットのようにも、ノートパソコンのようにも使える。タブレットPCはネット検索や動画を見たりするのは便利だが、仕事用のファイル作成には向いていない。それを補完するコンバーチブルPCは、カフェにノートパソコンを持ち込んでレポートを書いたり、仕事をしたりする人が増えている韓国では需要が高いと見込まれる。


 サムスン電子はATIVシリーズにGALAXYスマートフォンで人気のアプリを搭載することで、スマートフォン、タブレットPC、ノートパソコンでデータを共有して、より便利にエンターテインメントも仕事もできるようにサポートする計画だという。サムスンのWindows 8搭載端末は全て発売日が未定であるが、Windows 8の発売日が10月26日に決まったので、11月には発売されるのではないかとTwitterやブログなどで期待が高まっている。


 公開されたWindows 8搭載端末について、韓国のマスコミはほとんどが、「サムスンがアップルとの訴訟に負けたことでグーグルと距離を置こうとしている。そのためにWindows 8に力を入れている。特にサムスンのWindow 8スマートフォンは期待する価値あり」と報道した。


 サムスン電子だけでなくソニーと東芝のWindows 8コンバーチブルPCに興味を持つネットユーザーも多い。「高性能なのに安いノートパソコン」として東芝を推薦するショップが韓国では多いせいか、ソウル市内の大型カフェでノートパソコンを使っている人を見ると、サムスン製品の次に多いのが東芝だ。



スマートフォンの“ディスプレイ”になるコンパクトなノート


 通信事業者のKTもIFAに参加し、「スパイダーラップトップ」という面白い名前のノートパソコンを展示した。スマートフォンがCPUの役割をするノートパソコンで、スマートフォンとノートパソコンをケーブルでつなげると起動する。つまりスマートフォンのための持ち運べる“ディスプレイ”というわけだが、11型の大画面に8000mAのバッテリーがついているので、スマートフォンの充電池の役割もする。


 CPUもメモリーもないノートパソコンなので値段も安く軽い。定価は29万7000ウォン(約2万1000円)。今後もっと安いスパイダーラップトップも販売するという。KTのクラウドコンピューティングサービスである「Uクラウド」を利用すれば、各種文書の編集もできるので、いつでもどこでも仕事ができる。KT側は、どんなスマートフォンとつなげてもすぐ使えるのがスパイダーラップトップなので、今後世界中のスマートフォンメーカーと協力したくてIFAに参加したとコメントした。KTは中小企業と提携して独自のタブレットPCを発売したこともある。











通信事業者のKTもIFAに参加し、「スパイダーラップトップ」という名前のノートパソコンを展示した。スマートフォンにつなげると起動する持ち運びディスプレイ+キーボードのようなもの





趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 [2012年9月07日]


-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20120907/1062402/

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