サムスンがイメージセンサーで狙うソニー超え、業界最小を武器に

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 韓国Samsung Electronics(サムスン電子)がイメージセンサーでソニーグループ(以下、ソニー)の牙城を崩そうとしている。サムスン電子は業界最小ピクセルサイズという5000万画素のモバイル向けイメージセンサーを新たに投入。積極攻勢をかけている。韓国メディアによると、現在倍近いソニーとサムスン電子のイメージセンサー市場のシェアの差が、今後5年以内に10%台に縮まるという見方も出ている。2030年にシステム半導体でも世界シェア1位を目指すサムスン電子にとって、イメージセンサーのソニー超えは避けて通れない道だ。

 サムスン電子は21年6月10日、業界最小という0.64μmピクセルサイズで5000万画素のモバイル向けイメージセンサー「ISOCELL JN1」の量産を開始したと発表した。

 イメージセンサーは、スマートフォン(スマホ)のカメラ機能に欠かせないキーデバイスだ。多数の画素で光を捉え電気信号に変換する。スマホのカメラ機能のほか、自動運転の“電子の眼”として車載分野でも今後、大きく伸びると期待されている。

 ソニーが圧倒的首位を維持するイメージセンサー市場に、サムスン電子は世界最高レベルの微細工程を生かした小型化で挑む。新たに量産開始したISOCELL JN1は、同社が19年9月に公開したピクセルサイズ0.7μmのイメージセンサー「ISOCELL Slim GH1」よりもさらに小型化した。

 センサーのモジュールの高さも従来比で10%薄型化した。スマホに採用した場合、本体からカメラ部分が突出するようなデザインにならないという。スマホ用の標準カメラのほか、前面カメラや望遠カメラなど幅広い用途に応用できるとする。

 イメージセンサーの小型化は、スマホデザインの自由度を高める一方で、受光量の低下というデメリットがある。サムスン電子はその課題を克服する数々の新技術をISOCELL JN1に投入した。例えば「ISOCELL 2.0」と呼ぶ技術は、イメージセンサーのピクセル間の素材改良によって、従来比で光感度を16%向上したという。暗い環境では、隣接する4つのピクセル(0.64μm)を1つの大きなピクセル(1.28μm)として扱うことで、より明るい写真を撮影できる「Tetrapixel」と呼ぶ機能も活用できるようにした。

 韓国では、21年8月にも製品発表と噂されるサムスン電子の新型折り畳み式スマホ「Galaxy Z Fold3」に、このISOCELL JN1が搭載されるのではないかと注目が集まっている。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

<<NIKKEI X TECH>>

2021. 6.

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00037/

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