.
韓国で2023年2月7日から予約販売が始まった韓国Samsung Electronics(サムスン電子)の最新スマートフォン(スマホ)「Galaxy S23シリーズ」が好評だ。最上位モデルのGalaxy S23 Ultraは、同社が開発した最新の2億画素イメージセンサーを採用し、高品質なカメラ機能を最大の売りとする。サムスン電子にとって、イメージセンサー市場の絶対的王者であるソニーグループを追撃するための重要な製品でもある。打倒ソニーグループへ向けた弾みとなるか。
同製品を販売する韓国の大手通信事業者3社の集計によると、Galaxy S23シリーズの予約数は前機種のS22シリーズを上回るなど好調な出足だ。予約販売のうち、6割が最上位モデルのGalaxy S23 Ultraを選択しているという。
Galaxy S23 Ultraは、サムスン電子のスマホで初めて2億画素のイメージセンサーを採用した。2023年1月に発表したばかりの同社製イメージセンサー「ISOCELL HP2」である。0.6μm ピクセルの画素を2億個備えており、高画質で正確なフォーカスや、より素早い処理を実現した。
Galaxy S23 Ultraは、2億画素のカメラに加えて、1200万画素のカメラ、2個の1000万画素のカメラを搭載する。動画は最大8K画質で撮影可能だ。夜景モードを使うことで、人工知能(AI)がノイズを取り除き夜間でも明るくきれいに撮影できる。新たに「アストロハイパーラプス(天体写真撮影)」を搭載し、同社は銀河(Galaxy)も撮影できると宣伝している。
実際、Twitterでは、Galaxy S23 Ultraを使って100倍ズームで月の表面まで鮮明に撮影された写真が、驚きとともにシェアされている。
Galaxyシリーズの手ぶれ補正100倍ズームの実力は、前機種のGalaxy S22 Ultraから定評がある。例えば韓国のアイドルファンは、普段は米Apple(アップル)の「iPhone」を使っていても、コンサートやイベント前にはGalaxy S22 Ultraをレンタルして100倍ズームで「推し」の写真を撮影するのが流行している。最新機種のGalaxy S23 Ultra は、100倍ズーム機能も向上したとして期待を集めている。
サムスン電子は2023年2月1日に米国で開催した新機種公開イベントにおいて、「Galaxy S23シリーズは性能と品質全てにおいて過去最高だ」と強調した。イベントでは、Galaxy S23 Ultraで撮影したリドリー・スコット監督の短編映画『Behold』やナ・ホンジン監督の『Faith』も公開し、夜間でも高画質で安定した画面を撮影できる点をアピールした。
韓国内では、風景写真こそGalaxyのほうが上だが、人物写真についてはiPhoneの方がきれいに撮れるという口コミも根強い。サムスン電子は、Galaxy S23シリーズではフロントカメラを使った自撮りでも画質を強化したと説明している。世界的な景気低迷によってスマホの販売台数が低下する中、同社はカメラ機能の強化でスマホ市場の世界シェア首位を守る考えだ。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
(NIKKEI TECH)
2023. 2.
-Original column