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韓国のスマホユーザーが首を長くして待っていたiPhone 5がいよいよ12月上旬に発売されることが決まった。インターネットニュースの「iPhone 5来月発売有力」という短い記事にはコメントが700件以上も書き込まれた。
「iPhone 5の発売が遅れたのはサムスンのせいだ」、「アップルは既に次の新機種を準備しているので韓国で在庫処分するつもりなのだろう。サムスンのせいだ」、「iPhone 5待ちきれずGalaxy Note2を2年契約で購入してしまった。2年後また会おうねiPhone。みんなサムスンのせいだ」、と恨む書き込みから、「iPhone 5ブラック64GB LTEこそ本物のスマホ、待ち遠しい!」、「iPhone 5が発売されればサムスンやLGがシェアを取られないためにスマホの値段を下げるだろうから、そのときGalaxy Note2かOptimusに機種変更しようかな~」と楽しみにしている書き込みまでいろいろあった。コメント欄でユーザー同士がiPhone 5を買うべきかどうか真剣に討論しているのをみると、iPhone 5が韓国のスマホユーザーの物欲に大きな影響を与えるのは間違いなさそうだ。
iPhone 5はKTとSKテレコムのキャリア2社から発売される。KTもSKテレコムも史上最大の補償販売(iPhone4Sのユーザーが、契約期間が終わる前に購入しても端末価格を安くするマーケティング)をすると宣伝している。
今まではKTの単独販売だったが、キャリア2社が競争することによって、同じiPhone 5でもネットワークの速さなどで選べるようになった。KTは1つのアクセスポイントに512人まで同時接続可能で既存のWi-Fiより7倍速い68Mbpsの「プレミアムWi-Fi」を、SKテレコムは2つの周波数を使う75MbpsのLTEマルチキャリアとスマホ1台がWi-Fi2チャンネルを使うことで速度が2倍速くなる「Smart Channel Bonding」を始めた。
4度目の正直?
iPhone 5がいよいよ発売されるというニュースは、これが4度目である。韓国でスマートフォンを発売するためには、電波法により国立電波研究院で電波認証を受けないといけない。電波の混乱や障害を防止し、韓国の電波環境と放送通信インフラを保護するためである。韓国に端末を持ち込んでテストし、合格してから発売日が決まる。
アップルは9月19日、10月10日の2度も電波認証を受けては取り消しを繰り返した。理由はSKテレコムの周波数を間違えて申し込んだというのだが、あまりにも初歩的なミスなので、韓国における発売日を遅らせるためにわざと間違えたのではないか、という説が有力だった。サムスンとの訴訟で韓国でのイメージが悪くなり、発売を見合わせているというのだ。実際はサムスンとの訴訟よりも、中国工場のストライキにより生産が追い付かず、米国でも3週間待ち状態だったので、供給不足から韓国での発売を遅らせようとした、という説に落ち着いた。iPhone 5は10月31日にやっと電波認証を終え、発売日を調整してきた。
韓国のスマホユーザーは、iPhone 5に続いてLG電子がグーグルに納品した「Nexus 4」も韓国で発売してくれたらと願っている。Nexus 4は欧米のGoogle Playストアで、発売開始30分で売り切れたという話題のスマホである。LG電子がグループ会社の技術を集めて作ったという自信作「Optimus G」と変わらない仕様なのに値段は半額。Optimus Gの韓国での出荷価格は約7万3000円だが、Nexus 4は8GBモデルが約2万4000円、16GBモデルが約2万8000円に過ぎない。
海外で人気のモデルを韓国でも同じ時期に使えるといいのに。韓国でサムスンのシェアが圧倒的に高いのは、ほかに選択の余地がないという事情もあるからかもしれない。海外メーカーのスマホを韓国でもっと販売してほしいものだ。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20121124/1071662/