サムスン電子、Tizen OS搭載「Z1」、「GALAXY A5」など低価格スマホで市場拡大狙う、インドに続き韓国でも普及型モデル発売 [2015年1月23日]

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1月14日、サムスン電子がインドで約92ドル(約1万円)の低価格スマートフォン「Samsung Z1」を発売し、大きな話題になっている。

 「Samsung Z1」はTizen OSを搭載したスマートフォンで、4インチの画面に1.2GHzデュアルコアプロセッサー、メモリー768MB、カメラは310万画素とスペックは低仕様だが、とにかく値段が安いのが売りだ。カラーは、ホワイト、ブラック、ワインレッドの3色がある。Tizen OSはアプリの実行速度が速く、インターネットのWebページを読み込む速度も速いため、データ使用量とバッテリーの消耗を極力抑えられるのも特徴だ。モバイルインターネット速度が速くないインドでも、十分コンテンツを楽しめるようにしたのだ。

インドで発売した約92ドル(約1万円)の低価格スマートフォン「Samsung Z1」

 Z1にはインドの消費者向けに音楽、ラジオ、テレビチャンネル、映画などを楽しめるコンテンツアプリも搭載してあり、初めてスマートフォンを利用するユーザーもすぐ直観的に使えるようにした。サムスン電子側の説明によると、インドでは、ユーザーはエンターテインメントを楽しむデバイスとしてスマートフォンを利用しているため、音楽やテレビチャンネルをどれだけ利用できるかもスマートフォン選びの重要なポイントになるという。人口12億の新興国インドのスマートフォンユーザーはこれから爆発的に増加すると見られるため、サムスン電子がスマートフォン世界市場シェア1位を守るためには、インド市場を確保しなければならない。

 2014年6月にサムスン電子が公開した「Samsung Z」を見る限りでは、Tizen OSを搭載したスマートフォンはハイエンド端末になるはずだった。サムスン電子が主導したOSだけに、高性能なところをアピールしたかったはず。だがサムスン電子は、新興国市場を狙うために低価格スマートフォンが必要になり、アンドロイドより安く提供できるTizen OSを搭載することにしたようだ。

 韓国では、「スマートフォンユーザーは、自分が初めて購入したブランドのスマートフォンを使い続ける傾向がある。初めて購入したのがサムスン電子のスマートフォンなら、機種変更してもサムスン電子を選択する割合が高い」という調査結果があり、新興国でもこのルールが通用するのではないかとみている。インドでは、とにかく安く提供することを優先し、人生初のスマートフォンをサムスン電子製にする戦略だ。

 また、スマートフォンが普及して間もないインドなので、Tizen OSのスマートフォンを販売することで、Z1にプリインストールされているサムスン電子のコンテンツアプリやアプリマーケットの知名度がGooglePlay並に上がるのではないか、という期待もある。

 サムスン電子は、既にインドで「普及型スマートフォン」としてGALAXY E5/E7を発売している。E5は500万画素カメラ搭載に5.5インチディスプレイで約4万円、E7は同じく5.0インチで約3.4万円である。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column

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