サムスン電子が次世代半導体開発施設に2兆円投資、背景に競合企業の影あり

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 2024年11月23日、米Bloomberg TVは米NVIDIA(エヌビディア)が韓国Samsung Electronics(サムスン電子)のAI(人工知能)チップ向けメモリー半導体「HBM3E」の8層と12層の認証と導入を急いでいると報道した。HBM3Eは同社の第5世代HBM(High Bandwidth Memory、広帯域幅メモリー)で、DRAMのダイを垂直に積み上げて、全体のデータ転送速度を高速・広帯域化するメモリー技術である。

 現在NVIDIAのAIチップに搭載するHBMの大半は、韓国SK hynix(SKハイニックス)が納品している。その影響から2024年7~9月期の営業利益はサムスン電子半導体部門が3兆8600億ウォン(約4250億円)であるのに対し、SKハイニックスが7兆300億ウォン(約7730億円)と大きな差が生まれた。韓国内ではメモリー半導体の世界首位の座はサムスン電子からSKハイニックスに移行したと見られている。

 NVIDIA はHBMの確保を安定化するために、HBMを量産しているSKハイニックス、サムスン電子、米Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)の3社すべてと取引すると明らかにしている。しかし、韓国内ではサムスン電子のHBMはNVIDIAに納品するためのテストになかなか合格せず、技術に問題があるのではないかとの噂が出て、一時、サムスン電子の株価が下落し、危機説が出たこともある。

 それがBloomberg TVの報道でテストに合格して納品間近ということが分かり、サムスン電子の業績も改善すると期待されている。サムスン電子は2024年10月31日に行った業績発表の場で、第6世代HBMである「HBM4」は2025年下半期の量産を目標に開発しているとした。しかし韓国内外の評価を見ると、HBMでサムスン電子がSKハイニックスの技術に追い付くのはまだ時間がかかりそうだ。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2024. 12. 

-Original column 

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