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スマートフォンの世界ではインドが注目を浴びている。人口12億人、経済的に成長し続けている国であり、これからスマートフォンの普及が見込まれる国だからだ。サムスン電子とアップルも次のターゲットはインドで、新機種をインドで先に発売したり、新規ショップオープンの計画を発表したりしている。
韓国メディアは、インドのスマートフォン市場をめぐりサムスン電子とアップルの戦争が始まったと報道している。2015年インドの国内総生産の平均成長率は7.5%で、インド人の購買力は年々高くなっている。
米調査会社Strategy Analyticsのデータによると、2016年1~3月、インドのスマートフォンシェア1位は25.1%を占めたサムスン電子で、6400万台を販売した。2位はインドのメーカーであるMicromaxで16.5%、3位は同じくインドのメーカーであるIntexで9.4%だった。
同社によると、2015年度の世界スマートフォン市場規模1位は中国、2位は米国だが、2017年末には1位中国、2位インド、3位米国と、インドが急上昇すると予測している。インドのスマートフォンユーザー数は、2015年末時点で2億2000万人を突破した。それでも全人口の18%程度に過ぎない。まだまだ伸びる余地が残っている。
インドでは、150ドル以下の格安スマートフォンを購入する人が圧倒的に多く、8割を占める。ただし、格安端末から徐々にハイエンド端末へ機種変更する動きが出ているそうだ。香港に本拠を置くCounterpoint社の調査によると、2016年インドで売れそうなスマートフォンは、画面5インチ以上、LTE対応、2GBのRAM、16GB以上のメモリ、1300万画素以上のカメラ、指紋認証機能が揃った機種だそうだ。
サムスン電子は、2015年からインドで、1万円前後で買える格安スマートフォン「Jシリーズ」と「Zシリーズ」を発売し、大ヒットを記録した。サムスン電子によると、インドでもっとも売れたスマートフォン上位5位内に、Jシリーズが3機種含まれているという。
同社は、2007年からインド北部にスマートフォンの生産工場と研究開発センターを設置している。インド人のエンジニアを1500人採用し、市場に合わせた格安スマートフォンを開発してきた。インターネットを利用する際に、データを圧縮してデータ通信料を最大40%節約できる機能や、バッテリーの使用時間を2倍近く伸ばせる節電機能、音楽が好きなインド人のために無料音楽ストリーミングサービス、こうした機能をプリインストールして提供するなど、サムスン電子の格安スマートフォンにはインド人社員のアイデアが詰まっている。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
2016.6.27
-Original column
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/549762/051900091/