日本ではお金を持っていても、それを自慢したり見せびらかしたりしないようだが、韓国は違う。持っている人といない人が外見や住む地域ですぐ分かってしまうほど、貧富の差がはっきりしている。ソウルの場合、新興住宅街である漢江の南部「江南区」と「瑞草区」をまるめて「江南」と言い、最も住みやすい地域として人気が高い。
進学校や福祉施設、ブランドショップなどが集まり、「冬のソナタ」に登場するウェディングショップやバー、レストランもほとんどがここにある。ソウルで由緒ある「江北」に住みたくても、子供の教育や環境を考えると引っ越すしかなく、江北は古宮と共に観光客中心の街になりつつある。
2-3億円はする超高層高級マンションもみんな江南に集中していて、同じ広さでも江北より2倍は高い。住民の所得の差が大きいので、区役所の予算にも響き、江南区で捨てた建築材やブロックを江北で再利用しているとの噂があったほど、街並みも同じソウルとは思えないほど雰囲気が違う。
同じデパートでも江南地区の店舗にはルイヴィトン、アルマーニ、シャネル、ティファニー、グッチなど150を超えるブランドショップが並び、新商品も日本より早かったりする。江南のVIPだけをターゲットにした先行販売もよく行われる。江北では明洞にあるデパートの本店以外、ブランドショップはない。買う人がいないからだ。
LG電子の主力製品である薄型テレビは昨年1台170万円のものが5000台売れたが、80%が江南のお客さんだった。1台1千万円を超えるベンツやトヨタなどの高級車はもちろん、ウィスキー、ワイン、レストラン、コーヒー、デパートまで、ソウル人口の9.1%に過ぎない「江南区」と「瑞草区」での売り上げが半分以上だ。雑誌だって江南だけのものが5種類もある。小売り業界では、「韓国市場を制覇するには、まず江南を制覇しろ」が合言葉になっている。
江南と江北の購買力の差は毎年広がるばかり。ロッテデパートの関係者によると、江南では珍しくて高いほどよく売れ、江北では安いものがよく売れるそうだ。
ブランドショップを集めた江南区「ギャラリアデパート名品館」の売り上げは昨年164億円、1998年のIMF経済危機の影響もなく毎年15%ほど成長している。デパ地下の高級化もすごくて、江北のデパ地下はキムチと岩のりだらけだが、江南は世界各国のブランド菓子が並び、野菜や果物も全て地域特産物ばかり。りんご1個500円、レタス1000円! とんでもない値段をつけるほどよく売れるらしい。韓国は確か不景気のはずでは? 就職難や不景気も江南の人達には関係ないようだ。
[BCN This Week 2004年2月9日 vol.1026 掲載] Link