消費はその時代の鏡だそうだ。国の経済規模やレベルから人々の価値観や文化までそのまま映し出すからだ。2004年、韓国は不景気と言いながらも、個人の消費はそんなに萎縮していないように感じる。就職難にリストラ、カード破産が増え、貧富の差がどんどん激しくなっているので、極端にお金を使う人がいるからかもしれないが、「WELL-BEING」というタイトルが付く物にはなぜか財布の紐を緩める人が多い。
「WELL-BEING」で目につく現象としては、高くても、体にいいものを買う、他を減らしてでも高級なものを1つ買うことのようだ。有機栽培、スポーツジム通い、ヨガ、ブランド物、ワイン、空気清浄機、プラズマテレビなどが飛ぶように売れているのだ。
今、韓国では男女老若関係なく、ダイエットして筋肉もりもりの体に生まれ変わろうと必死で、テレビ番組では毎日、全国民の運動不足を深刻な問題だと嘆き、セクシーな主婦達が登場し「あなたもがんばって!」と騒ぎ立てる。女性にいいらしいと「ざくろ」と豆で作った肉代用食品が大ブレイク。
ワインは日本より遅れてブームになったが、江南にはワイン街まで登場し、プルゴギにワイン、豚カルビにワインというお店も珍しくない。ブランド物も日本同様だ。歩く身代金並みのシャネラーもよく目にする。
デフレにならず消費を継続させるためには、品質は高く、値段は手頃という点が重要だが、プラズマテレビや液晶テレビなど高価なデジタル家電は100万円台から徐々に70-80万円台に値段が落ち、乗用車とエアコンは税金が下がったため値段もぐっと落ちた。それでも気軽に買えるものではないのに、かなり売れている理由は韓国人が最も気にする「体面」、「自慢できる何かを持つ」ためなのだろうか。
「WELL-BEING」以外には、オリンピック、高速鉄道開通、番号ポータビリティや衛星を通じて携帯電話でテレビ番組などの映像サービスを利用できる「デジタルマルチメディア放送(DMB)」も消費トレンドに大きな影響を与えるだろう。今まで一部企業だけだった週休2日制が本格的に実施される。そうなると自然に家族と一緒に外食やレジャーを楽しんだり、何か趣味を持つ人が増え、その関係の消費も増えるだろう。
「WELL-BEING」とかけ離れた生活をしている私のような人もいるけど、韓国って何かが流行るとみんな一気にはまってしまうのでちょっと怖い。借金をしてでも周りとレベルを合わせないと居心地悪い何かがあるのは確かだけど、景気に関係なく消費が多くてもいいのかな。
[趙 章恩 CHO CHANG EUN]