もちろんです。3月末から4月上旬にかけて、韓国全土は花見で大賑わい。韓国も四季があるので春は花見、夏は海水浴、秋は紅葉、冬は雪と、日本と同じパターンで季節を楽しんでいる。
日本の4月は企業も学校もリセットされ新しい出発の時期だ。それと重なる桜の満開は、「これから1年がんばるぞ~」と幸せな気分にさせてくれる。桜が散れば今度はゴールデンウィークが待っている(羨ましい限り)。
韓国だと企業の決算は12月、新学期は3月なので花見にそれほど大きな意味はおかない。昼間から桜の下に陣取り、いやでも上司と夜遅くまで飲むようなことはない。家族や友達、カップルで花の下を歩きながら写真を撮り、地元の特産物を食べに行くのがお決まりのコースだ。
木の下で飲んだり食べたりする人はあまりいない。わざわざ遠くまで花見に出掛けなくても、住宅街やマンションの団地内にも花が多く、十分楽しめる。花の種類も桜に限らずケナリ(レンギョウ)、つつじ、白木蓮、ライラックなどが一緒に咲き乱れ、インパクトの強い花見を体験できる。
世界で最も桜の木が多いといわれる慶尚南道「鎮海(チンヘ)」では、22万本の桜が一斉に白に近い薄いピンク色の花を咲かせる。3月末の桜祭り「軍港祭」には毎年100万人以上の観光客が訪れる。
ソウルの金融街「汝矣島(ヨイド)」の国会議事堂の裏にある「輪中路(ユンジュンロ)」は、30年を超えた1400本の桜が植えられ、満開となる4月上旬の約10日間歩行者天国になる。地下鉄4号線の大公園駅から動物園まで歩いて1時間ほどの散歩道には、1700本を超える桜の花びらが風に舞い、爽快な気分にさせてくれる。ソウルのどこにいても見える南山とソウルタワーの周辺もきれいに花が咲き、歩くのが苦手な人は車でドライブしながら花見する。
終戦後、桜は日本の国花だからと全部切り倒し親日のものをなくそうという動きがあったが、桜の原産地は済州島でもあるという研究結果が発表され、全国で桜を植え直し始めた。
韓国でも露店などで客を装って買うふりをし、他の客を買う気にさせる人を「さくら」と言う。スパイや詐欺師、質が落ちるものも「さくら」と言う。これは日本語そのままで、昔牛肉が高いので桜肉(馬肉)を混ぜて売ったから「さくら」が詐欺師を意味する言葉になったそうだ(日本で聞いた話)。今では桜肉の方が断然高いけど。
ソウル市内はもちろん、韓国全土に桜並木が多いのは、「日本の桜も実は韓国から渡ったものなんだよ」と誇りに思っているから、かな?
[趙 章恩 CHO CHANG EUN]
[BCN This Week 2004年4月12日 vol.1035 掲載] Link