この頃私は現金を手にしたことがない。電車やバスの運賃はクレジットカードを改札に近づけるだけで決済され、月末に他の代金と合算請求されるし、コンビニエンスストアでもスーパーでもカードが当たり前だ。
インターネットで気に入ったコンテンツの料金は携帯電話の小額決済で支払う。小額決済はウェブの画面に自分の携帯番号を入力すると端末にSMS(ショートメッセージサービス)で暗証番号が送られてくる。それをもう一度ウェブに入力すると電話料金に合算請求される。とても楽な仕組みだ。各種税金や光熱費は全部ネットで支払っているのでオンラインバンキングかカードだ。カード代金は銀行振替。そういえばもう何か月も銀行に行ってない。
韓国には「OKCASHBAG」というマイレージ制度が定着している。SK株式会社が始めた制度だが、OKCASHBAGに加盟しているクレジットカードを使うとカードのマイレージが全部1つにまとまり、それをオンラインでもオフラインでも現金のように使える。お菓子やトイレットペーパーなどの商品にもOKクーポンがついていて、これを集めてもマイレージになるし、OKCASHBAG専用カードもあり、クレジット機能はなくてもマイレージは貯められるので子供から大人までみんな愛用している。
私も2年間貯めたOKCASHBAGが5万ウォンを超え、ネットでお米やワインなどを買った。
クレジットカードが普及したのは政府の脱税防止政策からだが、慣れてみるとオンラインショッピングにも抵抗がなくなった。もちろんお金だけもらって商品を送らない詐欺事件はまだ発生しているが、カードで決済した場合、保険で払い戻ししてもらえるし、犯人も捕まりやすい。
韓国には代引きがないので決済はカードかオンライン振り込みになるが、カード決済ではなく振り込みしてくれというショッピングモールは危ないと注意する。今年の初めオンライン共同購入という名目で有名ブランドのパソコンやデジタルカメラを半額で販売するとして、10億ウォン(約1億円)以上のお金を騙し取った事件があった。ここもカードではなく現金を振り込むようにしていた。
韓国の代表的な大手銀行「国民銀行」は、来年下半期から窓口を利用する顧客に手数料1500ウォン(約150円)を上乗せすると発表し大論争になっている。何でもオンラインやATMを利用しろということだが、何のために銀行にお金を預けているのかわからないと反発も強い。でも、この影響でますます現金を手にしなくなる人が増えるだろう。
[BCN This Week 2003年11月24日 vol.1016 掲載] Link