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韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は2021年7月13日、車載向けイメージセンサー「ISOCELL Auto 4AC」を発表した。同社は18年、ドイツで開催された国際自動車部品展示会にて車載向けイメージセンサー「ISOCELL Auto」のブランド名を公開していたものの、製品自体を発売したのは今回が初だ。
サムスン電子のイメージセンサー事業はこれまで、市場規模が大きいモバイル向けを主力にしてきた。ここにきて、先進運転支援システム(ADAS)と自動運転の開発により車載向けイメージセンサーの市場が急成長していることからラインアップ拡大を決めたようだ。
ISOCELL Auto 4ACは、車内から外部の状況を確認できる、サラウンド・ビュー・カメラと前方後方カメラ用のセンサーだ。センサーサイズは1/3.7インチで120万画素。トンネルの前後など明暗差の大きな環境化でも映像を鮮明に捉えられる、サムスン電子独自の「コーナーピクセル(CornerPixel)」機能を初めて採用したセンサーでもある。
具体的には、暗い環境用の3.0マイクロメートル(μm)フォトダイオードと明るい環境用の1.0μmフォトダイオードを1つのピクセルエリアに配置することで、どのような環境でも映像を捉え、安全な走行をサポートするのが特徴だ。例えば暗いトンネルを抜けた時のように、急に明るくなっても映像に残像が残らず鮮明なHDR映像をリアルタイムで捉える。
センサーの露出時間を長めに調整することで、映像がちらつく「LEDフリッカー」現象も緩和した。LEDライトや信号から出る交通情報も認識しやすくなる。撮影された画像の画質を改善するイメージ・シグナル・プロセッサー(ISP)も内蔵した。
韓国メディアによると、サムスン電子のイメージセンサーは、北米の自動車メーカーの新型電気自動車(EV)に採用されたと報じており、それは米Tesla(テスラ)のEVトラック「Cybertruck」ではないか、というのがもっぱらのうわさだ。サムスン電子は、どの自動車メーカーに採用されたのか明かしていない。
サムスン電子システムLSI事業部センサー事業チームのチャン・ドクヒョン副社長は「ISOCELL Auto 4ACは長年蓄積したモバイルイメージセンサーの技術力に安定性の高い車載向け先端技術を組み合わせた画期的な製品」「今後サラウンド・ビュー・カメラや前方後方カメラだけでなく、自動運転やイン・キャビン・カメラなど車載向けイメージセンサーのラインアップを広げていく予定」とアピールした。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
<<NIKKEI X TECH>>
2021. 8.
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