テレビが売れない時代でも大丈夫?IPTVやケーブルTVでは4K放送が人気 [2016年1月4日]

.

 韓国では、米の調査会社IHS iSuppliが発表した2015年の世界のテレビ出荷台数が話題になっている。HISは、2015年の出荷台数を、2014年の2億3492万台より700万台以上減の2億2700万台と推測した。なんでもスマートフォンで済ませることができる時代なので、もうテレビは売れないのだろうか。薄々と感じてはいたが、数字で見るとインパクトが違う。

 特に、テレビとスマートフォンはサムスン電子とLG電子を支える製品であるだけに、これから韓国企業は大丈夫なのか、と懸念する声もある。サムスングループによると、2014年まで10年連続サムスン電子が世界のテレビシェア(売り上げベース29.2%)で1位を占めている。2位はLG電子(同16.7%)である。2015年もサムスン電子とLG電子が1、2位をキープはしているが、シェアは減少している。ソニーと中国ハイセンスやTCLのテレビが、急速に売り上げを伸ばしているからだ。サムスン電子とLG電子は、UHD(Ultra High Definition、4K・8K)など画質勝負で、価格競争ではなくプレミアム競争で生き残る戦略だという。

 LG電子は、LCDではなくOLEDでUHD画質を提供して差をつけようとしている。サムスン電子は、SUHDといってサムスン電子独自の技術を搭載したUHDテレビに集中している。SUHDは既存のサムスン電子テレビよりも2.5倍明るく、明暗がくっきりしているので、3Dテレビに近い立体感がある。


写真●サムスン電子のSUHDテレビ(サムスン電子提供)
韓国では4K・8KのことをUHD(Ultra High Definition)という。サムスン電子は独自技術のUHDテレビであるSUHDテレビを販売している。同社の既存のテレビよりも2.5倍明るく、明暗がくっきりしていて立体感が出るのが特徴だ。

 しかし、韓国の地上波放送局側は、UHDにあまり乗り気ではないように見える。UHDを受信できるテレビがそれほど普及していないのに、莫大な製作費をかけてUHDでドラマやバラエティを制作する気にならない、というのだ。サムスン電子やLG電子は、UHDコンテンツが増えればUHDテレビを購入する人も増え、UHDを中心に映像産業が活性化すると関連省庁に訴えている。コンテンツが先か、テレビの普及が先か、まさに卵が先か鶏が先かの論争である。

 それでは視聴者の反応はどうかというと、IPTVやケーブルテレビ、衛星放送など、有料放送加入者を中心にUHDチャンネルを受信できる付加サービスに加入する人が増えている。





趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *