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日本では、安倍総理が「家計に占める携帯電話料金の割合が高い」と発言した。早速、総務省が10月19日携帯電話料金の値下げに向けて有識者会議を開いたという。年内には引き下げ策をまとめる方針だそうだ。
あれ?これにそっくりなニュースを、韓国で見たことがある。
2013年大統領に就任した韓国の朴槿恵大統領は、「通信料金値下げ」を公約に掲げた。携帯電話の加入費(事務手続き費用)を廃止、携帯電話の月々の料金も値下げすると発表した。当時朴大統領は「1世帯当たり平均通信費は、1か月15万ウォン(約1.65万円)を超えている。ここ3年間家計消費に占める通信費の負担が増え続けている。庶民の通信費負担を減らすため、通信料金の持続的な値下げが必要」だと発言した。
朴大統領の発言直後、通信政策を担当する省庁の未来創造科学部は迅速に有職者会議を開き、移動通信キャリア3社を集めて料金の値下げを要求した。
韓国政府は、韓国の移動通信市場の問題点を以下のようにとらえた。(1)韓国のキャリアは競争をしなくなった。長い間、シェアが固定(SKテレコムが50%、KTが30%、LGU+が20%)していることが原因。(2)ユーザーは、韓国の携帯電話は他の国に比べて断然高いと信じていて、原因はキャリアの料金体系にあるとみている。
韓国政府とキャリア3社は、韓国の通信料金体系はどう決まるのか、その意思決定の過程を公開し、ユーザーの信頼を得るために動きだした。
実は2008年に就任した李明博前大統領も、「家計支出に占める通信費の割合が高いので、通信費を20%値下げする」ことを公約に掲げていた。しかし、通信キャリアの反発に合い、月々の携帯電話基本料金を約100円値下げするに留まった。通信費の値下げを期待したユーザーも、不満を抱えた。そのため、朴大統領の指示で本当に通信費を値下げできるのか半信半疑だった。
様々な話し合いをした結果、まずは未来創造科学部が2014年末、有無線音声電話網相互接続料を平均26%値下げすることにした。これはキャリア間のネットワーク使用料で、例えばKTの加入者がSKテレコムの加入者に電話をかけた場合、KTからSKテレコムへ1分当たり約3円を払う。2013年の相互接続料は2兆1419億ウォン(約2356億円)と、かなりの金額である。実はキャリア3社は、相互接続料を理由に通信費の値下げはできないと主張してきた。
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