沈滞していたメモリー半導体市場が再び上昇を始めた。在庫過剰で値段が下がり続けていたDRAMとNANDの取引価格は2023年10月と11月の2カ月連続で上がった。DRAMとNANDの大手企業である韓国Samsung Electronics(サムスン電子)と韓国SK hynix(SKハイニックス)のメモリー事業は急回復し、2023年10~12月の決算は大幅に好転すると韓国の証券業界は見込む。
同証券業界は、サムスン電子とSKハイニックスの好況は一過性ではなく、2024年以降も続くと見込んでいる。人工知能(AI)ブームを受けてAIサーバーに搭載する高性能のHBM(High Bandwidth Memory)やオンデバイスAI向けのDRAM需要が急増するとともに、この需要は今後も旺盛だからだ。
サムスン電子とSKハイニックスもメモリー半導体が好況サイクルに入るとみて準備は万全だ。サムスン電子はHBMの生産能力を2024年は現在の2.5倍にするために、設備投資を増やすとしている。SKハイニックスは2024年に生産予定のHBMまで売り切れ状態で、HBM設備投資額を2024年は現在の1.5倍に増やすという。
台湾のリサーチ会社TrendForceが12月5日(現地時間)に発表したデータによると、2023年7~9月グローバル市場のNANDフラッシュ市場規模は前期より2.9%増加した92億2900万米ドルだった。NANDフラッシュメーカー各社が減産を迫られていた状況から一気に様相が変わってきた。NANDフラッシュのグローバルシェアはサムスン電子が依然として1位(31.4%)だが、キオクシアのシェアが減少したことによりSKグループ(SKハイニックスと子会社のSolidigm)が1年ぶりに2位(20.2%)になった。TrendForceによると、DRAMもモバイル向け・PC向け・サーバー向け全てで価格が上昇して出荷量も増えていて、交渉の主導権が半導体企業に戻ってきたという。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
(NIKKEI TECH)
2023. 12.
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