韓国の伝統家屋である「韓屋(ハノク)」がずらりと並ぶ狭い坂道に一歩足を踏み入れると、胸がドキドキ! 映画のセットに迷い込んでしまったかのようですが、ここにあるのは、ちゃんと人が住んでいる普通の住宅なんです。
道のどちらに曲がっても同じような家が続くので、迷路の中をぐるぐる歩いているような気分になってしまいますが、家と家の間には何十年もこの土地を守ってきた理髪店や餅屋、韓屋をそのまま活かした陶器ショップやギャラリー、カフェ、レストラン、ワインバー、若手デザイナーの小さな手作りショップなどがあります。小さな公園もいくつかあって、なんと飲み水として使えるというほど澄んだ水が流れる渓谷まであるからびっくり! お店をのぞいたり、韓屋を眺めながらブラブラしているだけで、あっという間に1日が過ぎてしまうほどおもしろいんですよ。
そう、ここがヨン様の本にも紹介された伝統と芸術とトレンドが共存する街、あの有名な三清洞(サムチョンドン)です。「冬のソナタ」のファンの方なら、すでに一度は訪問したことがあるのでは? ロケ地だった中央高校は三清洞の坂の上にあります。
百科事典によると、三清という名前の由来は、道敎の太清、上清、玉清の三位を祭った「三清殿」があったからということですが、もうひとつ、山と水と人情が清くて素晴らしい街だということで三清(山清・水清・人清)という名前がつけられたという説もあります。ステキ!
三清洞はギャラリーが密集している仁寺洞から近く、ほかの地域より家賃が安かったので、若い芸術家達が集まるようになりました。彼らは韓屋に住みながら、その家をギャラリーとして公開したり、生計を立てるために手作りの品物を販売したり、お茶を出したりしていたのが口コミで広がり、今やソウルでもっともおしゃれなスポット、必須デートコースにまでになったのです。
三清洞の隣は北村(プクチョン)。ここも大統領官邸に近いことから大規模な工事ができなかったため、昔ながらの韓屋がそのまま残っています。北村はわざわざ伝統を守るというよりも、伝統をそのまま生活に取り入れている地域で、外国人にも人気が高く、韓屋ホームステイは数ヵ月先まで予約が埋まっているそうです。韓国の下町生活を体験できる韓屋ホームステイは、宿泊費もオンドル部屋でひとり2~4万ウォンほどとホテルより安いのでおすすめです。
三清洞の散歩コースは、明洞から光化門と景福宮を経由したり、地下鉄3号線安国駅からスタートしたり、大学路からソンギュンクァン大学を通って裏山から坂を下ったりと、いろいろなルートがあります。何度も足を運んで、自分だけのオリジナル散歩ルートを開拓するのもいいですね。
お腹が空いたら、三清洞の名物を食べてみましょう。おいしいところはたくさんありますが、誰と行ってもおいしいと言ってくれるのが「三清洞スジェビ(すいとん)」。40年近くスジェビ専門店として栄えている食堂です。
お店は見るからに古くて、メニューは煮干のダシのスープに野菜が少し入ったスジェビに、キムチとナムルのおかずという素朴なものでしたが、通の人に言わせると「そこがいい!」のだとか。スジェビ1人前5000Wで、お店は景福宮から安国駅方面に歩いて最初の左側の路地を入ったところにあります。
食事が済んだら韓屋でお茶にしませんか? 伝統茶室のようなところもいいですが、ゴージャスな韓屋のお屋敷でハーブティーやコーヒーはいかがでしょう。「もっとも美しい家」という名前のお店「ドゥガホン(斗佳軒)」はいかがですか?
お店として使っているのは1910年に建てられた韓屋で、王族のために造られたというだけあって、とにかくすごい! 大きな伝統屋敷がいくつもあり、広い庭にはロシア様式の洋館まであるんですよ。結婚式場として貸し出されることもあるというほど、話題のスポットなんです。
午前11時から午後4時まではカフェ、午後6時からはレストラン営業です。コーヒーやハーブティーを頼むとクッキーやチョコを一緒に出してくれます。コーヒーはちょっと薄めのアメリカンが6000W、ハーブティーは9000Wで、大きなポットごとサーブされるんです。ディナーはイタリアンと韓国料理をミックスした創作料理で、75000Wから(全メニューで10%の付加価値税が加算されます)。場所は景福宮を左にして三清洞へ向かう道の入口、現代ギャラリーの裏です。
もうひとつおすすめしたい名物・名所はミンガダホン(閔家茶軒)です! ここは三清洞というより仁寺洞ですが、ソウルで特別な体験をしたいと思ったら、ここしかありません! サムジキルの角にある薬局から路地に入ってずっと奥の方にあります。
ミンガダホンは、1930年代に建てられたソウル市民俗文化財15号に指定されている韓屋を利用したお店。王妃の親族が住んでいたお屋敷が、フレンチやイタリアンを韓国風にアレンジした料理とおいしいワインが評判の高級レストランになりました。東洋と西洋の住宅様式をうまく活用した特別な作りになっているため、訪れる人はみんな、「あ~私もこんな家に一度でいいから住んでみたい!」と感嘆するそうですよ。ランチの予算はひとり1万9000W、ディナーは 5万8000W~です(10%付加価値税が上乗せされます)。※値段は2009年11月現在のものです。
by: 趙章恩
2010年1月5日
「ニッコリア」: ダイナマイト・コリア 今日もドキドキ探検に出かけよう!