デジタルTV価格競争で内需回復に期待感
【ソウル発】2005年2月に発売された三星電子のLCDTVローマシリーズが、薄型TVの単一シリーズとして初めてミリオンセラーに輝いた。昨年の世界LCDTVの市場規模は約1960万台(アイサプライ調べ)と推定されているなか、全世界で販売されたLCDTVの20台に1台は三星電子のローマシリーズであるということになる。
ローマシリーズは「TVは四角」という固定観念から脱皮し、TV画面の下の部分をV字型に処理しスリム型スピーカーを置くことで、インテリアの一部になるような大型LCDTVとしてのデザイン性を持たせたことで支持を得た。昨年ドイツIFデザイン公募展と欧州のEISAアワード、米国のCES革新賞などを受賞した。
三星電子の映像ディスプレイ戦略マーケティングチームの担当者は「これから薄型TV市場はデザインが勝敗を分ける重要な要素になるだろう」と述べ、「三星電子は今後もデザインの差別化戦略をLCDTVに限らずPDPTV、DLPプロジェクションTVなどにも拡大し、ミリオンセラーとなる薄型TVをどんどん提供していく」と話している。
韓国ではワールドカップに向けてLCDデジタルTVの価格競争が激化、一般家庭はもちろん飲食店での大型TV需要が拡大している。以前はもう1台TVがほしい時に、小型LCDTVを購入する傾向にあったが、現在では1年前まで1000万ウォン近かった三星電子の40インチとLG電子の42インチLCDTVが400万ウォン(約50万円)を切ったため大型TVへの買い替え需要が伸びている。
量販店「電子ランド」によると、従来は7対3だったPDPTVとLCDTVの販売比率が今年1月には4対6になり、40インチ以上のLCDTVの販売量が昨年10月に比べて約3倍に増加しているそうだ。
三星電子は02年ワールドカップの名将ヒディンク監督を、LG電子はワールドカップの英雄で、英国で活躍しているパク・チソン氏をモデルに起用。影響力が大きい両社がサッカーマーケティングを繰り広げているため、デジタルTVを中心に消費が進み内需が回復するのではないかと期待されている。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
[BCN This Week 2006年2月13日 vol.1125 掲載] Link