予想外の大地震、通信障害でパニック、災害情報提供やトラフィック管理など見直し

.

9月12日夕方、韓国南部にある慶州で、マグニチュード5.8の地震が起きた。慶州は日本でいう奈良のような古都で、遺跡が多く観光地として有名な都市である。かなり大きな地震で、だいぶ離れた釜山やソウルの高層ビルでも、揺れを感じたほどだった。韓国は今まで、地震がない国として知られていた。突然起きた地震観測史上最大規模の地震に、韓国中が大騒ぎになった。

 建物が壊れたり人が怪我したりといった被害は大きくなかったが、住民は地震が発生したらどうしたらいいのか、今まで災害教育を受けたことがない。慶州の市民は、初めての地震に動揺するしかなかった。怖くて建物の中に入れず、公園や学校の運動場で夜を明かす人達もいた。


[画像のクリックで拡大表示]

[画像のクリックで拡大表示]
写真●KAKAO TALKのホームページと画面(出所:KAKAO)
9月12日韓国の慶州で震度5.8の地震が発生。地震観測開始以来最大規模の地震だった。地震がない国として知られていた韓国で起きた地震で移動通信ネットワークの障害が発生し、韓国の国民的人気アプリKAKAO TALKも2時間使えなくなる事態となった。今回の地震は、災害に備えた移動通信ネットワーク作りを考えるきっかけになった。

 全国各地の人が、家族の安否を確認しようと無料メッセンジャーに殺到した結果、国民的人気の無料メッセンジャーアプリ「KAKAO TALK」が、トラフィック急増で2時間ほど使えなくなるトラブルが発生した。キャリア3社のネットワークも、トラフィック急増で2時間ほど遅延が発生、電話がなかなかつながらない、インターネットの速度が遅い、といった障害が発生した。

 キャリア3社とKAKAOの分析によると、地震直後一瞬で移動通信ネットワークはいつもの10倍、KAKAO TALKはいつもの4倍トラフィックが増加し、サーバーが追い付かなかったという。移動通信ネットワークは、過負荷がかかると自動的に通話を制限、キャパシティーを超えないよう順に電話をつなげていくので、電話がつながらないという事態が発生した。

次ページ以降はITpro会員(無料)の方のみお読みいただけます。


趙 章恩=(ITジャーナリスト)

 

日経パソコン

2016.9

-Original column

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/549762/091400108/?itp_leaf_index

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *