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以前お伝えした人工知能と人間の囲碁対局(AI囲碁・AlphaGoとプロの対局に韓国中が大騒ぎ、インターネット生中継同時接続65万人アクセス)以降、韓国では人工知能に対する関心がますますヒートアップしている。
プロ棋士イ・セドル九段に勝った人工知能AlphaGoの中身は、CPU1202個、GPU176個を搭載したスーパーコンピュータだとして、韓国メディアは人工知能研究の基礎となるスーパーコンピュータ開発にもっと積極的に取り組むべきだ、と盛り上がっている。
世界のスーパーコンピュータ業界は、米国、日本、中国が先頭に立っている。スーパーコンピュータの最新ランキングTOP500(2015年11月時点)を見ると、世界1位のスーパーコンピュータは中国の国防科学技術大学が開発した「Tianhe-2 (MilkyWay-2)」、2位は米国Cray Inc.が開発した「Titan」、3位は米国IBMが開発した「Sequoia」、4位は日本の富士通が開発した「K computer(京)」、5位は米国IBMが開発した「Mira」だった。世界スーパーコンピュータ上位500位の内半分近くが、米国内にある。
4位のK computerは日本の理化学研究所に設置されているもので、韓国メディアは「世界でもっとも高額の開発費を投じた(1120億円)スーパーコンピュータ」として紹介している。
韓国産スーパーコンピュータは世界トップレベルからは程遠い、まだまだ開発途上の状態である。韓国の気象庁が使っているスーパーコンピュータは、米Crayのものである。2012年に雷という意味の国産スーパーコンピュータ「CHUNDOONG」を開発したことはあるが、ぱっとしない。
そこで韓国未来創造科学部(部は省)は2016年4月4日、今後10年間毎年100億ウォン(約10億円)ずつ、国産スーパーコンピュータ開発に投資する計画を発表した。韓国政府が国を挙げて国産スーパーコンピュータの開発に投資するのは、これが初めてである。
産学連携「超高性能コンピューティング事業団」を上半期中に設立し、人工知能研究とビッグデータ分析に役立つスーパーコンピュータを開発する。同事業団のメンバーは公募で集める。同事業団内にコンソーシアムをいくつも作り、競争させる。
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