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2012年10月4日から、韓国中の代理店で販売が始まったLG電子のOptimus G。
LG電子はOptimus Gを、「世界最高のスマートフォンを作るという覚悟で挑んだ野心作」といい、世界のスマートフォン市場で同社のシェアを大幅に伸ばせる、GALAXY Note2とiPhone 5に対抗できるスマホとして大々的に宣伝する。LG電子、LGディスプレイ、LG化学、LGイノテック(カメラ)といったLGグループの技術を集結した「怪物スマホ」であると、韓国のマスコミも紹介している。スマホ市場がアップルとサムスン電子の2強体制になりつつある中、LG電子の起死回生となるだろうか。
Optimus G は米クアルコムのSnapdragon S4 Pro クアッドコアプロセッサー、LTE/VoLTE対応、4.7型TrueHD IPS+ディスプレイを搭載する。OSはAndroid 4.0、RAMは2GB、カメラは1300万画素である。重さは145gととてもコンパクト。
早速Optimus Gに乗り換えたユーザーの反応は上々で、1300万画素カメラと「Qスライド」という名前のユーザーインタフェースが好評である。
Qスライドは画面を分割して使うマルチタスキングではなく、画面を半透明に重ねて2つの機能を同時に使えるようにした機能である。地上波DMB(韓国のワンセグ)機能もついており、例えばテレビを観ている途中にメールが届いても、テレビの再生画面の上に半透明でメールが表示され、そのままテキストを入力して送信できる。カメラを文字にかざすと64カ国語に翻訳してくれる「Qトランスレーター」も好評だ。
しかし何よりも話題になったのは付属のイヤホン!
「Quadbeat」という名前の付属イヤホンは、Optimus Gの本体が代理店で売り出される前から別売りを始めていた。LG電子サービスセンターに注文すると1万8000ウォン(約1260円)で買える。ゴールデンイヤーズという音響評価サイトがLG電子の依頼でQuadbeatを評価したところ、日本でも1万7000円ほどする高級イヤホンのロジクール「Ultimate Ears TripleFi 10」と肩を並べるほどで、実際の音を忠実に再現する、高音と低音のバランスがすばらしいと評価された。
高音もきれいに聞こえる、耳に負担がない、と絶賛されたことからネット上で話題になり、9月27日にはQuadbeatが検索キーワード1位になった。
Quadbeatは韓国のアイサウンドという会社が製造する。メタル素材に平べったいケーブルでデザインもかっこいい。アイサウンドの会社ホームページは9月27日からアクセスが殺到、トラフィック超過でホームページが開かない事態まで発生した。
LG電子サービスセンターには「スマホはいらない、Quadbeatだけ欲しい」という問い合わせが相次いだ。Quadbeatの生産は追いつかず、10月中旬までイヤホンの別売りを中断している。
LG電子はOptimus Gを10月中に日本でも発売する予定だと発表した。きれいな画質、ミニマルなデザイン、Qスライドもすごい。日本で販売される同モデルに付属するか不明だが、あればQuadbeatの音質もぜひチェックしてほしい。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
[2012年10月5日]
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20121005/1065806/