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このところ、韓国のテレビ・ラジオ・新聞では、連日「ハッキング事件」が取り沙汰されている。複数の韓国メディアによると、7月6日イタリアのハッキングツールを開発するHacking Teamという会社がハッキング被害にあい、400GB分のデータがネット上に流出した。流出したデータの中には、顧客リストや顧客とHacking Teamとの間で交わした電子メールの内容も含まれていた。
顧客リストには、米FBIをはじめ世界各国の情報・捜査機関と並んで韓国の陸軍部隊と思われる名前が載っていた。韓国の陸軍と思われる顧客は、2012年から2014年までハンキングツール購入費と維持費で68万6400ユーロ(約9500万円)を支払っていたという。
韓国メディアは、この陸軍部隊は韓国の国家情報機関ではないか、韓国の情報機関は誰を監視するためにハッキングツールを購入したのかなど、真相を追求すべきだと報道した。7月10日付けの世界日報によると、Hacking Teamは、自社のハッキングツールは現存するあらゆるICTセキュリティシステムを破って監視できる、痕跡を残さず特定人物を監視できる、と宣伝していたという。
7月14日、韓国の国家情報機関である国家情報院のイ・ビョンホ院長は、国会で行われた政府情報委員会会議で、Hacking Teamから流出した顧客リストにあった韓国の陸軍部隊名は国家情報院のことだと認めた。
イ院長は、「2012年、Hacking Teamからハッキングツールである『リモートコントロールシステム(RCS)』を購入したことがある」「(韓国メディアが報道したように)イタリアのHacking Teamに、メッセージアプリをハッキングできるかと問い合わせたことはあるが、北朝鮮の情報を集めるためで、一般市民を監視する目的は一切ない」「ハッキングツールは20人をハッキングできる分購入し、18回線は海外で北朝鮮の工作員を対象に使用、2回線は研究用として韓国内で運用している」と説明したという。イ院長の発言内容は、政府情報委員会会議に参加した与野党の議員から外部へ伝わった。
7月15日、国会情報委員会の幹事を務める与党のセヌリ党イ・チョルウ議員が韓国のYTNラジオの番組に出演。国家情報院のハッキングツール購入は問題になるようなことではない、と以下のように説明した。
「米FBIや外国の捜査機関もハッキングツールを購入した。国家情報院によると、2010年スマートフォンが急速に普及し、スマートフォンを経由したハッキングに備え、2012年1月ハッキングツールを購入してどのように防御すればいいのかを研究する目的で購入したと説明しているのは、問題になるようなことではない。国民のみなさんは、過去国家情報院が盗聴などをしたからまた一般市民を監視するのではないかと心配しているようだが、時代は変わった。国民の信頼を失っては情報機関の役割は果たせない。国家情報院のハッキングツールは、市民を監視するためではない」
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