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韓国の地上波放送局は、放送局ごとにYouTubeに公式チャンネルを持つ。歌番組やバラエティー番組のハイライト場面などを、短い動画クリップにしてYouTubeに提供している。韓国内はもちろん、海外からもYouTube経由で韓国のテレビ番組を楽しめるようにしている。
「好きな歌手のライブ映像だけ観たい」「バラエティ番組の爆笑場面だけ観たい」といった視聴者も多く、高画質の暇つぶしコンテンツとしてMBCとSBSのYouTubeのチャンネルは非常に人気が高い。YouTubeを観て気に入った番組の全編を観たくなったら、放送局のホームページから有料でダウンロードするか有料のビデオオンデマンドを利用できる。
ところが、韓国の地上波放送局のMBCとSBSは2014年12月1日より、YouTubeに動画クリップを提供しないことにした。正確に言うと、YouTubeの国・地域設定が韓国になっている場合だけ、MBCとSBSのチャンネルに登録された動画クリップを再生できないようにした。MBCとSBSは、韓国のネットユーザーはポータルサイト「NAVER」と「Daum Kakao」から放送局の動画クリップを利用するよう告知している。
その理由は、YouTubeとの広告収入の配分にある。YouTubeの広告収入配分はYouTubeが45%、放送局が55%だ。これに対して放送局側は、コンテンツを提供する放送局がもっと広告収入を得られるようにすべきだとしてYouTubeと交渉した。しかし、その交渉はうまくいかなかった。
そこに韓国のポータルサイトNAVERとDaum Kakaoが、破格の提案をした。広告収入の配分を放送局90%、ポータルサイト10%にするので、YouTubeではなくNAVERとDaum Kakaoに動画クリップを提供してほしいという提案だ。放送局側はYouTubeではなく、広告収入の配分が大きい両ポータルサイトを選択した。
ポータルサイトは、地上波放送局の番組動画クリップを確保することで訪問者数が増え、全体の広告収入が増えることを期待する。一方、地上波放送局は一つの動画クリップを海外向けはYouTube、韓国向けはポータルサイトと分けて使うことで、広告収入が増えると期待している。
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