売りに出された音楽プレーヤー販売の韓国アイリバー、SKテレコムと日本企業が買収に興味 [2014年6月13日]

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 ハイレゾ音源対応音楽プレーヤーを販売している韓国アイリバーが売りに出された。最大の株主である私募ファンドがアイリバーの株を売却することにしたのだ。

 韓国メディアは、日本の音響関連企業2社(会社名は非公開)がアイリバーの買収に乗り出したと報じた。6月に入ってからは、携帯電話加入者シェアで1位のキャリアである韓国SKテレコムがアイリバー買収に乗り出すことを明らかにし、韓国の新聞には「アイリバー買収めぐり日韓企業が競争」という見出しまで登場した。SKテレコムがアイリバー買収の意向を表明してから、アイリバーの株価は5日ほどで2倍に跳ね上がった。

 アイリバーの設立は1999年。高品質でデザインもかわいいMP3プレーヤーを販売し、韓国だけでなく世界市場でも人気が高かった。iPodが発売されてからはMP3プレーヤーの人気が落ちたため、より高音質の携帯型音楽プレーヤーをはじめ、ナビゲーション、電子辞書、電子書籍端末、Kibot(子供向けロボット、Wi-Fi接続で防犯カメラ機能・電子書籍・アニメなどをダウンロードできる)、スマートフォンなどモバイル端末――といった製品を製造販売している。

 2012年からは24ビット/192kHzのスタジオマスタリング音源(Mastering Quality Sound、ハイレゾ音源、ITproの関連記事)を再生できる高級携帯型音楽プレーヤー「Astell&Kern」シリーズを、2013年には心拍数やGPS移動経路記録、カロリー消費量などを計測するヘッドホン「iriverOn」を発売した。

 Astell&Kernは日本でも販売されており、「AK240」(256GBモデル)には30万円近い値段が付いている。アイリバーはハイレゾ音源販売サイト「groovers+」、世界初の高音質ストリーミングラジオ「sonodoos」を運営する子会社も持っている。

 一方、SKテレコムはアイリバーを買収することで、通信事業以外の収益拡大を目指している。韓国の通信市場は日本と同様に加入者が飽和状態で、キャリア3社は端末購入のための補助金や料金割引で顧客の奪い合いをしているのが現状だ。

 SKテレコムは、既にスマートフォンと連動する携帯型非常ベル(子供や女性向け、保護者のスマートフォンに緊急メッセージを送信して位置を表示する)、携帯型プロジェクター、子供用ロボットなどを発売している。2014年2月には韓国の無人警備会社NSOKを買収し、NSOKが持っている防犯センサーや防犯カメラの技術を生かしたスマートホームサービスにも注力する。

 また、2012年には中国の医療機器ベンチャーである西安天隆科技有限公司の株式を49%取得し、中国のヘルスケア市場にも進出しようとしている。


写真●SKテレコムが販売している子供向けロボット「Albert」。韓国のキャリアは通信以外のビジネスに積極的になっている


趙 章恩=(ITジャーナリスト)

 日経パソコン

-Original column

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