日本政府が対韓輸出管理強化を始めてから3カ月が経過した。日本政府は2019年7月から半導体・ディスプレー材料3品目の対韓輸出管理を厳格化し、2019年8月からは韓国を輸出管理上の優遇対象国から除外する処置をとっている。これに対し韓国は2019年9月18日に戦略物資輸出入告示を改訂し、日本を戦略物資輸出の優遇対象国から除外した。

 2019年10月1日、韓国産業通商資源部(部は省)貿易投資室長のパク・テソン氏は「日本の対韓輸出規制発表3カ月経過に関する立場」を発表した。日本は政治的目的で韓国のみを差別する輸出制度を運営しており、WTO二国間協議で解決したい、というのが主な内容だった。「日本政府は韓国には個別輸出許可しか認めておらず、世界4大輸出統制体制に加入していない国より韓国を差別する制度を運営しています」、「これは善良な意図の民間取引を阻害してはならないという国際輸出統制体制の基本精神と原則に逆らうものです。このような処置は輸出制限のようなもので、我が国だけを特定した一方的で不当な差別処置です。そのためWTO規範に完全に合致するという日本政府の立場に韓国政府は全く同意できません」、「(韓国政府は)政治的目的で輸出統制制度を悪用する事例が再発しないよう、9月11日にWTOへの提訴の手続きを開始しました。今後行われるWTO二国間協議を通じて問題が解決するよう、日本政府の転向的な立場の変化をもう一度促求(「促す」の意味)します」。

 日本の対韓輸出管理強化以降、韓国の半導体とディスプレー業界は不確実性を避けるため材料や生産設備の国産化や輸入先の多様化を急ぎ、予想より早く国産化が進んでいる。韓国サムスン電子(Samsung Electronics)に続いて韓国SKハイニックス(SK hynix)も、2019年10月1日から日本産の代わりに韓国ラムテクノロジー(RAM TECHNOLOGY)の液体フッ化水素(エッチング液)を生産ラインで使い始めたと発表した。

 韓国産業通商資源部によると、フッ化水素、フッ化ポリイミド、フォトレジストの3品目の対韓輸出管理強化が始まってから2019年10月2日までに、7件の許可が出たという。財務省の2019年8月の貿易統計によると、半導体製造に使うフッ化水素の韓国向け輸出は数量も金額もゼロだった。前年同月は3378トンだった(日本経済新聞 電子版の関連記事)。なお、フッ化ポリイミドとレジストの輸出量については、統計上の分類方法により正確には把握できないため不明である。韓国企業からすると、日本から材料を輸入したくてもいつ許可が出るかわからない状況が続いており、国産化に注力せざるを得ないというわけだ。

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