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環境財団(Korea Green Foundation)が2011年12月12日、「世の中を明るくした人たち」の7回目の表彰式をソウルで行った。環境財団は2002年11月に設立された環境団体で、環境と生命を守り、持続可能な社会をつくるための活動を行っている。「世の中を明るくした人たち」は、寄付、献身、挑戦、情熱、感動、笑いで韓国社会を明るくしてくれた個人や団体を表彰するもの。ウェブサイトで推薦を受けつけ、環境財団が選んだ審査委員による審議を経て33人の受賞者(団体)を選ぶ。歴代受賞者は主にスポーツ選手、市民運動家、芸能人、学者だった。
2011年度の受賞者には、政治風刺で人気を集めているお笑い芸人たちと、同じく政治風刺のポッドキャスティングに出演しているチョン・ボンジュ前民主党議員が33人の中に含まれた。このことが話題になっている。
「骨のある笑い」が評価を受けるお笑い芸人
受賞した1組は、韓国放送(KBS)が毎週日曜日に放送する人気お笑い番組「Gag Concert」の「カマキリ幼稚園」コーナーに出演している芸人たちである。審議委員は韓国社会の問題を面白おかしく批判し、視聴者を笑わせていることが高く評価した。「カマキリ幼稚園」では教育、政治、不動産バブル、青年失業、物価高騰など、韓国に住む人なら誰もが不満に思うことを風刺している。
例えばカマキリ幼稚園は、塾に頼る教育の実態を風刺する。韓国では、子どもたちを小学生の頃から塾に行かせ、大学入試に備えさせる。塾に行かせるための教育費の負担は重い。
園児が「私は大人になったら良いお母さんになって子供を賢く育てたい」と言うと、先生がこう反応する。
「賢い子供を育てるためには早期教育が大事。なので塾に行かせないといけません。英語がいちばん大事だから英語塾に行かせる。その次に作文塾。感性を伸ばすためにピアノ塾。体力を補強するためテクォンド塾にも行かせます。うちの子は公園で遊ばせたいって? 公園に行っても誰もいません。子供はみんな塾にいます」
「塾に行かせた子供が大きくなると何になるのか。大学生になります。大学を卒業すると英語のうまい会社員、ピアノのうまい会社員になります。塾に行かせても何も残らないって? 塾に行っていたという思い出は残ります」
「カマキリ幼稚園」の出演者らは「骨のある笑い」を見せてくれるとして、大変人気がある。しかし、それゆえに告訴されたこともある。無所属国会議員のカン・ヨンソク議員が、カマキリ幼稚園に出演しているお笑い芸人のチェ・ヒョジョン氏を「国会議員を侮辱した」として11月17日に告訴したのだ。
カン議員は、「カマキリ幼稚園」でチェ氏が口にしたセリフを問題にした。チェ・ヒョジョン氏は10月2日の放映で、国会議員になるのは容易であるとして「与党の首脳部と仲良くなって、与党の推薦を受けて、与党の畑(選挙区)で出馬すればいい」「選挙運動の際には普段は行かない市場に行って、おばあちゃんたちと握手すればいい。普段は食べないクッパを一度食べるだけでいい」「公約を話す時はその地域に橋を架けるとか、地下鉄を開通させるとか……あ、現実的に厳しいって? 大丈夫。口で言うだけだから」と話した。カン議員はこのセリフが刑法第311条の侮辱罪に当たると主張した。
ソーシャルテイナーの1人である笑い芸人のパク・ミファ氏や評論家のチン・ジュングォン氏などはTwitter上で「お笑い番組の内容を侮辱として受け止めること自体、後ろめたいことがあるからではないか」とカン議員を非難した。野党の民主党は「カン議員は『国会議員を代表して告訴する』と言うが、彼に代表になる資格はない」との声明を発表した。カン議員は11月29日「チェさんには申し訳ないことをした」と自身のブログで謝り告訴を取り下げた。この事件をきっかけに、韓国ではお笑い風刺がもっと注目されるようになった。
「笑いながら戦う」ポッドキャストが大人気に
「世の中を明るくした人たち」に選ばれたもう1人、チョン・ボンジュ前議員が出演しているのは「ナヌンコムスダ(私はコムスだ、コムスは裏手を使うという意味)」、略してナコムスという有名なポッドキャスティングである。出演者はタンジイルボ(インターネット新聞)のキム・オジュン代表、チョン・ボンジュ前議員、週刊誌「時事IN」のチュ・ジンウ記者、時事評論家のキム・ヨンミン氏の4人。
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By 趙 章恩
2012年1月4
-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20111222/225566/