[日本と韓国の交差点] サムスン入社を目指し塾通いする大学生

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10月13日、サムスングループは新卒者採用試験SSAT(SamSung Aptitude Test)を韓国5大都市と米国のロサンゼルス、ニューヨーク、カナダのトロントで実施した。サムスングループの2013年下半期の新卒採用は5500人の予定。これに史上最多の10万3000人が応募した。このニュースは日本でも話題になった。応募者の中から条件をクリアした9万3000人が受験、サムスングループの社員1万人が試験監督として参加した。

 サムスングループの2013年上半期の新卒採用には8万人が応募した。よって、2013年だけで18万人、インターン希望者2万人を含めると合計20万人がサムスングループの採用試験に応募したことになる。

 応募した18万人は「とりあえず応募してみた」という人たちではない。TOEICで高スコアをマークし、大学の成績はB以上(ほとんどの科目で優、たまに良があるぐらい)という最低限の条件をクリアした新卒者である。サムスングループは英語の試験と大学の成績で応募者をふるいにかけ、条件をクリアした人にSSATを受験するチャンスを与える。

 SSATは1995年から始まったサムスングループ独自の採用試験である。SSATで高得点を取った入社2~3年目の社員が出題する。SSATの問題は大きく言語、数理、推理、時事常識、職務能力の項目に分かれている。130分間で185問を解く。SSATが終わるとその場で3000字の自己紹介書を書く。

 13日にSSATが終わると、韓国のメディアは一斉にSSATで出題された問題とその解説、試験会場の様子を大きく取り上げた。試験会場の外で合格を祈る母親の姿もあり、大学入試と変わらない熱気だった。

 サムスングループは、SSATで上位となった30%ほどを対象に面接を行う。面接のやり方はグループ会社の業種別、職群別に違う。1泊2日の合宿面接をしたり、専門知識を問う追加試験を行ったり、色々なパターンがある。SSATは3回まで受験できる。

2万人の募集に40万人が応募

 10月は大手企業の下半期新卒採用が集中する時期である。サムスングループの他にも5日はLGグループ、6日は現代自動車グループ、12日はKTが独自の採用試験を行った。その他の大手企業もほとんどが10月、書類審査合格者を対象に独自の採用試験を行う。去年まで系列社ごとに採用試験を行っていた大手企業も、2013年からはサムスングループのようにグループ全体で1つの採用試験を行い、本人の希望と適正に合わせて系列会社に配置する方式に変えた。

 韓国の大手企業は、中途採用の場合は、欧米のように空きが出ると採用する。求職者はこれに備えて、履歴書と経歴書を事前に登録しておく。しかし新卒の場合は「公正な採用」であることを強調するため、年2回の公開採用制度を維持している。韓国では学閥、地縁、血縁で決まるコネ入社がとても多かったからだ。

 現代車の2013年下半期の新卒採用は、1200人の定員に10万人が応募した。履歴書と自己紹介書、資格証など書類審査をパスした1万人を対象に、独自の採用試験HMAT(Hyundai Motor group Aptitude Test)を行った。HMATは2013年下半期に初めて行われたもので、現代車グループの社員に求められる協力性、挑戦精神を測定する。

 通信キャリアのKTは300人の募集に対して4万5000人が応募し、倍率は150倍に達した。書類審査で3000人ほどを選び採用試験を行った。

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By 趙 章恩

2013年10月21日

-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20131021/254808/

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