2012年1月23日は旧暦のお正月だった。韓国は旧暦のお正月で、お正月を祝う。中国も同様だ。春節といって大型連休になる。このため、中国人の多くが海外旅行に出かける。中国人観光客を誘致しようと周辺国は大忙しだ。お金を使ってくれる中国人観光客を積極的に誘致しようとしているのは日本だけでない。韓国も同じことを考えている。
日本のニュース番組が、日本を訪問する中国人観光客が増え、家電売場や免税店の売り上げが伸びていることを紹介していた。さらに、韓流ブームの影響を受け、中国人観光客が日本以上に韓国に訪問していると紹介していた。
韓国を訪問する日本人観光客が爆発的に伸びたのは、韓国ドラマ「冬のソナタ」がきっかけだった。「冬のソナタ」のロケ地巡りツアーが大ヒットし、ソウルだけでなく、ソウルから東北へ3時間以上離れた江原道にまで日本人観光客が殺到したのには驚いた。
その後、日本では、いろんな韓流ドラマのロケ地巡りツアーがヒットした。芸能人に会えるツアー、音楽番組の公開収録に参加するツアーも登場した。日本で韓流ブームが巻き起こってから、日本に対する韓国人の意識がずいぶん変ったものだ。韓国でも日流ブームが始まり、日本の小説がベストセラー上位を占め、日本のドラマがケーブルテレビで放映されるようになった。韓国でも、日本ドラマのロケ地巡りがはやった。日本のアイドルが韓国で公演できるようにもなった。
今、中国で同じようなことが起きているそうだ。韓国ドラマのロケ地を巡り、人気アイドルが出演するコンサートに行き、ドラマの主人公が着ていた韓国ブランドの洋服や化粧品をお土産に買って行く。逆に中国を旅行する韓国人も増えた。
明洞で、中国語しか通じない店に出会う
この前、外国人観光客が集まるソウルの繁華街、明洞(ミョンドン)に行って驚いた。明洞のお店のどこに入っても日本語と中国語の両方で案内が書かれている。店員さんも、日本語と中国語の両方が話せる人がとても多かった。しかも、ある化粧品店では、店員さんが中国人で、韓国語が通じなかった。
90年代まで、女子大生に人気のショッピングスポットだった梨花女子大学前は、今や中国人観光客で埋め尽くされている。中国人の間で、「梨花女子大学正門の前で写真を撮るとお金持ちになれる」という噂が広まっていることが理由だ。「梨花」(イファ)が、「お金を稼ぐ」という意味の中国語「利發」と発音が似ていることから、そのような“ジンクス”ができたらしい。韓国ではこれを「ストーリーテリング観光」と呼ぶ。縁起が良い場所、中国と縁のある場所など、観光客が訪問したくなるスポットを増やそうとしている。
中国人観光客は接客しだいで、1日700万円ぐらいを平気で使う
有名ブランド品しか扱わないソウル江南区にある高級デパートの「ギャラリア」には日本語と中国語を話すコンセルジュが常駐している。免税店よりも新作がそろっていて、空港で税金を控除してもらえるので、デパートでブランド品を買う観光客が増えているからだ。
デパートのコンセルジュの仕事は主にショッピングのお手伝いをする通訳である。それに加えて顧客の趣向を覚え、韓国の芸能人に関する話題から観光案内まで情報を提供する。顧客が「○○という韓国ドラマの□□のシーンで、主人公の女性が着ていたスカートがほしい」と言うだけで、そのブランドの売り場に案内するという神業が、売り上げの拡大に貢献している。
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By 趙 章恩
2021年2月8
-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120206/226902/