.
ロシアのソチで行われていた冬季オリンピックが終わった。選手らのインタビューを見ると、日本人選手も韓国人選手も、「オリンピックを楽しめた」と笑顔で応対する人が多い。かつての“メダルがすべて”の時代から大きく変化していることを感じる。
韓国は8つのメダルを取得。そのうち7つを女子選手が獲得した。ショートトラック(スケート)に出場したある女子選手は他の選手の反則に遭い転んでしまったが、すぐ立ち上がり最後まで全力疾走。感動的な場面を見せてくれた。
一方で、メダル獲得が間違いないと期待されたショートトラック男子は、2002年ソルトレイク冬季オリンピック以降で初めてノーメダルだった。メダル以外で、がっかりしてしまう場面も多かった。ショートトラック男子選手は反則をしたり、メダルを獲得できないことが明らかになると、途中でレースを諦め全力で滑るのをやめてしまったりした。
派閥争いといかさまが帰化の理由?
これだけではない。ショートトラック男子選手とコーチ、大韓氷上競技連盟に対する韓国世論がもっと冷たくなる出来事があった。
ショートトラックでかつて韓国代表だったアン・ヒョンス選手が、ロシアの代表選手ビクトル・アンとして出場し、金メダル3つ、銅メダル1つを獲得した。アン・ヒョンス選手は2006年のトリノ冬季オリンピックに韓国代表として出場し、金メダル3つ、銅メダル1つを獲得している。
実力のあるアン・ヒョンス選手がなぜ韓国ではなくロシアの代表選手になったのか? これを巡って韓国中が大騒ぎになった。アン・ヒョンス選手がロシアに帰化した理由について、韓国の複数のメディアが「大韓氷上競技連盟内の派閥争いのために、アン選手は韓国で選手生活を続けることができなくなった」「韓国の先輩選手がアン選手にわざと負けるよう要求。これを断ったため、先輩選手から暴行される事件もあった」などと報道した。「アン・ヒョンス選手は祖国に捨てられロシアで復活した英雄」「韓国代表選手らは派閥争いの結果、選ばれた悪者」とも読み取れる内容に韓国中がショックを受けた。
朴槿恵大統領もアン・ヒョンス選手について発言したことから、波紋がさらに広がった。朴大統領は文化体育観光部(部は省)に対し、「アン・ヒョンス選手問題(ロシアに帰化したこと)は、派閥、天下り、審判の不正など体育界の不条理によるものではないか見直す必要がある」「各分野の才能ある選手を発掘し、その夢を実現できるよう最善を尽くして助ける私心のない指導者と教えが必要」だと指摘した。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。