[日本と韓国の交差点] 分煙より禁煙の韓国~喫煙見つかると即解雇も

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 日本の街を歩いていると、韓国よりも喫煙者を配慮した構造になっていると思う。ビルやカフェ、レストランには室内で喫煙できる場所がある。街中でも野外喫煙スペースをあちこちでみかける。

 韓国では分煙より禁煙ムードだ。韓国といえば喫煙者が多く、歩きたばこも平気なイメージがあるが、ここ数年でずいぶん変わった。大人でも隠れてこっそり喫煙しなければならないほどである。

国民健康増進法により屋内は原則禁煙に

 韓国では国民健康増進法により、2013年7月から、150平方メートル以上のレストラン、居酒屋、カフェ、ベーカリーといった公衆施設は全面禁煙になる。分煙ではなく、室内では一切喫煙ができない。

 国民健康増進法により全面禁煙施設に指定された場合、禁煙区域であることがよくわかるように表示を出す必要がある。違反した事業主は1回ごとに16万円ほどの過怠料が科される。既に設置済みの室内喫煙室(室内喫煙区域)は2014年12月31日までに完全に撤去しないといけない。喫煙者にも罰則がある。禁煙区域で喫煙した人は9100円ほどの過怠料を支払わなければならない。

 国民健康増進法は、青少年がよく利用するネットカフェも7月から全面禁煙区域にする。ネットカフェはこれまで禁煙区域と喫煙区域を分ける分煙施設だった。国立がんセンターが全国のネットカフェの室内空気を調査したところ、禁煙区域にいてもたばこによる悪影響は変わらなかった。このため、保健福祉部(日本の厚生労働省のような省庁)が「喫煙者を差別するためではなく、非喫煙者の健康を害すことがないよう、ネットカフェを全面禁煙施設にすることを決めた」(同部)。同部は図書館、青少年体育施設なども全面禁煙区域に指定した。

 保健福祉部は喫煙率を減らし国民の健康を向上させるため、たばこの値上げも考えている。韓国のたばこの値段はOECD加盟国22カ国の中で最も安い2500ウォン(約230円)だった(2012年時点)。2010年の統計(OECD Global Health Observatory)でも韓国が最も安かった。

 保健福祉部は、韓国はたばこが安いため、喫煙率が高いと見ている。15歳以上の成人男性喫煙率を見ると、OECD加盟国の中で韓国は2位だった(44.3%)。ちなみに1位はギリシャで46.3%だった。保健福祉部は、成人男性だけでなく青少年の喫煙率も上昇していることに頭を抱えていた。

 OECDの統計を見ると、たばこの値段が高い国・地域ほど喫煙率が下がる。このため保健福祉部は2013年3月、たばこの値段を2500ウォン(約230円)から4500ウォン(約410円)に値上げしようとした。しかし、値上げしたたばこ税を何に使うかの議論が紛糾した。「禁煙治療のために使うべきだ」という意見と、「教育のために使うべきだ」との意見が対立した。けっきょく、他の省庁と世論の反対に押されて値上げできなかった。

喫煙をみつけたら即解雇

 喫煙を減らすための動きは企業にも広がっている。大手企業は「喫煙者は解雇する」というルールを作り、社員に同意書にサインするよう求めている。喫煙したことを見つけると、警告なしで即解雇している。

 某航空会社は2013年1月、会社の屋上で喫煙した社員をすぐに解雇した。この航空会社は、1991年から社内禁煙を社則としている。管理職になる社員に、禁煙同意書にサインをさせている。航空会社は、喫煙が見つかった場合、解雇してもいいと社員自ら同意したので解雇は正当だとしている。

 この航空会社は、たばこのにおいがしただけで懲戒処分、または解雇にするほど、社員の喫煙に厳しい。これは航空会社会長が肺がんで家族を亡くした経験から、「社員に健康でいてほしい」「社員の健康を守るのも企業の役目だ」という思いから禁煙ルールを導入したという。

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