[日本と韓国の交差点] 戦争で南北に生き別れとなった「離散家族」探し再開

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韓国と北朝鮮の間で対話が再開した。8月26日、ケソン公団に入居している企業の関係者537人が、公団内の設備点検のため同公団に入った。午前8時から午後6時30分の間、業種別にそれぞれ9時間30分ずつ作業を行った。ついにケソン公団が再稼働する。

 韓国内には「再発防止策はあるのか」との不安の声もある。北朝鮮側がある日突然、入居企業を再び追い出すようなことがないとは限らないからだ。それでも入居企業は、これで会社が潰れずに済むと安堵の表情を見せていた。

 中断している金剛山観光事業の再開に向けても、9月25日、南北の間で話し合いを始めることを決めた。さらに、離散家族問題も進展した。8月23日には南北の赤十字社が、離散家族探しと再会を再開することに板門店で合意した。朝鮮戦争の休戦に伴い南北で生き別れになった離散家族が9月25日から30日まで、金剛山観光地区内で再会する。これは2010年10月以降、3年ぶりの南北離散家族再会である。

 韓国赤十字社はこの再会を、ソウルと平壌の両方で開催することを提案したが、北朝鮮赤十字社が金剛山に固執した。離散家族探しを再開する代わりに、場所は何が何でも金剛山でないといけないと主張したという。

 離ればなれになった家族に再会できるのは、韓国赤十字に申し込んだ人の中から選ばれた100人と、北朝鮮にいるその家族である。韓国赤十字は200人を希望したが、北朝鮮側がこれを受け入れなかった。ただし、別の100人が11月、北朝鮮にいる家族と再会できることになっている。

 韓国統一部(対北朝鮮政策や脱北者問題などを担当する省庁)は8月23日に会見を開き、「今日の合意は、離散家族の問題を解決するための出発点である」と強調した。今回の南北合意について、「北朝鮮側の要求通り合意した。韓国側の主張は何一つ通らなかった」「北朝鮮に拉致された人、朝鮮戦争当時の国軍(韓国軍)捕虜を返せとなぜ言えない」という批判が起こっていた。これに対して同部は、北朝鮮との対話を再開したことに意義を置いた。韓国と北朝鮮の赤十字社がいつでも対話できるよう関係を改善するために、まずは北朝鮮が反発しない分野――離散家族の問題――から解決するという。

 統一部は、韓国と北朝鮮の赤十字社が以下の合意文を交わしただけでもすごい成果だと評価しているようだ。「南と北は離散家族の再会を定例化する。生死確認、書信交換の実施など、離散家族問題の根本的解決のために継続して努力する」。

「離散家族を探しています」の放送が130日間の生放送に

 「離散家族探し」は1983年6月30日、公営放送のKBSが「離散家族を探しています」という特別番組を放映したのが始まりだった。戦争で離ればなれになり、同じ韓国にいながらも30年間消息の分からなかった家族を探すため、全国からソウル市汝矣島にあるKBS本社前に人が集まった。

 人々は画用紙に探している家族の名前、特徴、出身地、生い立ち、分かれた場所などを書いてカメラの前に立った。自分の家族らしき人を画面の中に見つけた視聴者はKBSに電話した。スタジオにいる人と電話をかけた人を会話させ、家族だと判明したらスタジオに呼んだ。この再会の場面を生中継した。

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