[日本と韓国の交差点] 教師による体罰は「正当な教育」か

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日本で、体罰を受けた高校生が自殺した。この事件は、韓国にも大きな衝撃を与えた。他人事ではないからだ。韓国の学校ではかつて「愛のムチ」として体罰が当たり前のように行われていた。

 韓国の親と教師は、朝鮮時代から「フェチョリ」を持っている。フェチョリは竹や木の枝などで作った細い棒のようなもので、体罰を与える時に使う。フェチョリを使って手のひら、おしり、ふくらはぎなどを叩く。フェチョリで叩くと大きな音が出るので、子供が怖がって悪さをしなくなる、と考えられている。


 朝鮮時代の民俗画に、書党(貴族の子供に漢文と礼儀を教える学校のようなところ)で、悲しい表情でフェチョリを手に取ろうとする先生と泣く子供を描いたものがある。「フェチョリを持つ」という慣用句は、誰かを厳しく叱るという意味だ。


 フェチョリは、親や教師に叱ることの意義を考えさせる役割も持つ。体罰をする時は、子供にフェチョリを持ってくるように言い、その間に、自分は本当に教育のために体罰をするのか、二度三度考えるのだ。かっとなって手で体を直接叩く、顔を叩く、のは暴力である。


 それでも、教師が感情的になり、体罰がエスカレートして、学生が大怪我をすることがあった。2010年には、テクォンドー部員の中学3年生が、コーチの体罰を苦に遺書を残して自殺した。サッカー部のコーチが小学5年生の部員に体罰を加え、頭蓋骨骨折で死亡させる事件もあった。韓国の運動部は日本の部活と異なり、プロの選手を目指す学生を集めて徹底的に訓練をする。顧問教師ではなく、体育教師とコーチが指導する。


 試合に負けたというだけで体罰をするコーチもいたことから、中央省庁の人権委員会は2006年から2007年にかけて運動部の体罰に関する真相調査を行った。調査の結果、運動部に所属している小中高校生の8割が体罰を経験したと答えた。


広がる体罰禁止


 ソウル市、京畿道、光州市の教育庁は2012年1月に「学生人権条例」を制定。これを受けて、これらに所属する学校は学校での体罰を禁止している。体罰は子供のプライドを傷つけるとの理由からだ。この条例をきっかけに、全国の教育庁は、体罰やいじめなど学校で暴力を受けた学生が助けを求められる仕組みも用意した。「117」に電話して通報できる。教育科学部(部は省)は「学校暴力予防および対策に関する法律」を強化し、「学校暴力対処自治委員会」を設置するよう学校に求めている。これは、教師と親が一緒に参加する学校内の委員会で、体罰やいじめなど学校内で起こる全ての暴力の予防に取り組むものだ。


 ソウル市が定めた学生人権条例第6条は、「学生は体罰、いじめ、性暴力など全ての物理的および言語的暴力から自由になる権利を持つ」と定めている。ソウル市はこの6条を根拠に、いかなる理由であれ、学校で体罰に及ぶことを禁じている。



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By 趙 章恩

2013年1月23




-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20130117/242361/

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