[日本と韓国の交差点] 日本メディアの“征韓論”に韓国は激怒した…か

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韓国のメディアが11月15日、週刊文春が「韓国の『急所』を突く!」「安倍総理が『中国はとんでもない国だが、まだ理性的に外交ゲームができる。一方、韓国はただの愚かな国だ』と発言した」という内容の記事を載せたと報道した。同日午前、韓国の外交通商部(部は省)は、「日本の外務省から『週刊文春の報道は間違いである、安倍総理はそのような発言をしたことがない』との連絡があった」と発表。週刊誌の報道に敏感に反応することはないという態度を示した。

 それでも韓国政界は安倍総理が暴言を吐いたと非難した。与党・セヌリ党のホン・ムンジョン事務局長は同日、「安倍総理とその側近が韓国を卑下する発言を続ける限り、韓国と日本の関係は難しくなる」「安倍総理は首脳会談しようというが、このような状況で首脳会談を開いても両国の関係発展に関して議論できるだろうか」と発言した。

 民主党のチョン・ビョンホン院内代表は、「政府は報道内容を確認して断固として対応すべき」と主張した。

 週刊文春の記事は内容も残念だが、タイミングも残念だった。11月14日には、韓国の国会議員7人と財界人9人が日韓協力委員会総会のため東京を訪問していた。日韓協力委員会は日韓の友好関係を強めるための政財界の集まりである。日本側の初代会長は岸信介元総理、現在は麻生太郎副総理が会長を務めている。

 5月に一度中止になった総会を、11月になって改めて開催することにしたという。両国の硬直した関係を少しでも改善するためだ。15日には安倍総理が同総会に出席し、祝辞を述べた。週刊文春の記事がなかったら、日韓関係が改善に向かう一歩になっていたかもしれない。

 11月13日には、ソウル市長を務めるパク・ウォンスン氏が、海外メディアとの懇談会で次のように述べ、日本と仲良くしたいとアピールしていた。

「日韓の中央政府は国家的利害関係のために難しい関係になることもある。しかし、都市と都市、民間と民間の関係は政府に関係なく平和、共生のための強い基盤を作れる」
「日韓関係はローカルとローカル、人と人の関係を強化すべき」

ユニクロを着て、アサヒビールを飲みながら反日

 さらに10月末あたりから、韓国内でも反日=愛国といった扇動に疲れたとして、現状に疑問を抱く世論が少しずつ広がっていた――日本とうまく交流する方法はないのか。国際社会の中で韓国政府の反日は妥当なものと見られているのか。保守派といわれる朝鮮日報も、進歩派といわれるインターネット新聞も「日本と対立し続けるのはよくない。北朝鮮問題がある限り、日本との軍事協力は重要だ。歴史問題には線を引く必要があるが、感情的になり過ぎてはいけない」と主張。朴槿恵大統領に変化を求めていたところだった。

 朝鮮日報は11月16日、「週刊文春の『日本の金融機関が支援しなければ、サムスンだとしても1日で滅びる』といった内容の報道についてサムスンに聞いてみた」として、サムスン電子の意見を取材した記事を掲載した。朝鮮日報のインタビューに答えたサムスン電子の関係者によると、「サムスン電子は借り入れがほとんどなく、日本の資金には全く依存していない」そうだ。

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