韓国メディアが伝える放射能汚染の深刻さ
3月11日に発生した東日本大震災から1カ月半が過ぎようとしている。韓国でも連日トップニュースとして取り上げられてきた震災は、福島原発事故による放射能汚染問題へと焦点が替わった。
韓国メディアは、東京電力が福島原発の汚染水を海に流したことや、韓国の大気中からも放射性物質が検出されたことが報道している。このため韓国ではパニック状態が続いている。小さい子供は、雨の日は学校を休ませる。放射性物質が濃縮されやすいと理由で牛乳も飲まないほど恐怖に怯えている。
震災直後はセンセーショナルな報道が相次いだ
震災直後は、日本の被災状況を実際以上に、センセーショナルに報道する新聞記事やテレビ番組が相次いだ。ある新聞は震災直後、「日本沈没」という見出しの記事をて1面トップに掲載したも。津波によって壊滅した村の写真も載せた、このタイトルを、多くの読者が猛烈に非難した。
テレビでも、日本列島阿鼻叫喚と銘打ち、日本全土が地震で壊滅しているかのように伝える報道が相次いだ。
テレビをつけると、どのチャンネルも繰り返し津波の映像を流していた。国内ニュースよりも、日本の震災関連ニュースの放映時間の方が長かっただろう。韓国にいながら災害ストレスを訴える人も多かった。
韓国民から「どこで何があったのか正確に報道していない。恐怖心をあおる見出しをつけてばかり」との非難を浴びるようになって、メディアはやっと正常な報道体制を整えた。
原発事故の影響を“甘く”見る報道に不信感
福島原発が水素爆発を起こし、放射能汚染が大問題になると、メディアは口をそろえて「原発は安全」という報道をし始めた。テレビは、白い煙を絶えず吐き出す福島原発の映像を映し続けていた。「東京の水道水が汚染され、多くの人が必死になってミネラルウォーターを買っている」とのニュースも伝えた。それでも、「日本政府が安全と言っているから福島原発は安全なはず」と口を濁す内容の報道が続いた。
韓国への影響について、「韓国は安全」という納得しがたいニュースがメディアを埋めていた。韓国の気象庁は「日本と韓国の間では、常に韓国から日本と風が吹く。だから韓国に放射性物質が流れてくることはない」と発表した。韓国内にある原発に関しても、「日本と違う設計方式を採用しているので安全」という報道ばかりだった。
ネットに寄せられるコメント欄には、日韓両国の政府を非難する声が殺到した。「気象庁は雨の予報すら当てることができない。放射性物質についても『安全』という発表は信用できない」「日本の政府が安全と言えば韓国の政府も安全と言う。私たちは日本人なのか?」「日本人は他人に迷惑かけないと聞くが、原発の汚染水を近隣国家に知らせることなく海に捨てた。迷惑の意味は震災の後変わってしまったのか?」「韓国政府はなぜ日本政府に抗議しないのか」。
政府とメディアは「安心」との発言を変え始めた
チェルノブイリの原発事故では、1000キロ以上離れた西ヨーロッパまで放射能で汚染された。福島から1000キロほど離れた韓国に放射線の影響がないはずはない。そう思うのが当然だろう。
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By 趙 章恩
2011年4月27
-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110426/219658/
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