[日本と韓国の交差点] 朴大統領のピンチを靖国参拝が救った?

 韓国メディアが安倍晋三首相の靖国神社参拝を一斉に報じた。駐日米国大使館が「失望した」との声明を出したことを受けて、「米国はやっぱり韓国の味方」「日本が歴史問題について謝罪しないかぎり首脳会談しても意味がないという朴大統領の外交戦略は正しかった」といった記事が相次いでいる。

 韓国の保守派を代表する朝鮮日報は12月27日、朝刊1面に安倍晋三総理の写真を大きく掲載し、「軍国の心臓を参拝。安倍、一線を超えた」という見出しを付けた。同じく保守の東亜日報も27日朝刊で、「韓国人の胸に釘を打った(韓国人の心を傷つけた)」と報じた。その他の進歩派の新聞や地上波テレビ局のニュース番組も、安倍総理の靖国神社参拝を強く非難するニュースをトップに据えた。

 朝鮮日報は28日朝刊でも1面の3分の1を割いて、「一人ぼっちになった安倍」という記事を掲載した。その下には、「安倍総理は『靖国神社参拝に反対するのは韓国と中国だけだ』と言うが、米、ヨーロッパ、ロシアも安倍総理の靖国神社参拝を非難する声明を発表した」と伝えた。韓国政府が、米・中・東南アジア諸国と協力して、靖国問題に対応する方針であることも報じた。

 他の韓国メディアも、欧米メディアの記事を引用しながら、「安倍総理が靖国神社に参拝したことにがっかりし、怒りを感じるのは韓国と中国だけではない」ということを強調している。

 実際、駐日米国大使館は12月26日、安倍総理の靖国神社参拝について「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している」と声明を発表した。韓国のメディアも日本のメディアも、これを異例のことと分析した。27日には米国務省も日本に失望したという内容の声明を発表した 。

 韓国メディアは、小野寺五典防衛相とヘーゲル米国防長官が12月27日に予定していた電話会談が米の意向で中止になったことについても、安倍総理の靖国神社参拝が影響していると報道。「日本は米国が自分の味方になってくれると思ったようだが、それは誤算」だと分析した。また、国家安全保障局の初代局長に内定している谷内正太郎氏が米ワシントンを訪問する予定で、今回の靖国神社参拝問題をなんとか収拾しようと慌てているとも報じた。

 菅義偉官房長官は27日の記者会見で、「安倍政権の歴史認識や外交姿勢に変化はない。総理自身が謙虚に礼儀正しく誠意を持って関係各国に説明し、理解を求めていく」と話した 。

韓国の主張は正しい~韓米関係が一気に改善

 日本の総理や政治家が靖国神社を参拝することに韓国が反対するのは、靖国神社が第二次世界大戦のA級戦犯を合祀しているからだ。靖国神社以外にも戦没者を追悼できる場所はあるのに、わざわざ靖国神社を「首相参拝」したのは、「韓国人と第二次世界大戦で被害を受けた人の心を傷つけるためだ」と思ってしまう 。

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