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梅雨に入っても、雨の降らない日が続いている。そのせいか、韓国は6月から30度を超える猛暑が続いている。節電のため、オフィス、レストラン、デパートなどでは室内温度を26度以上に設定するよう政府機関が取り締まっており、どこに行っても暑い。カフェでパッビンス(甘く煮込んだ小豆と果物、きなこ、餅、ミルクをかけた韓国のかき氷)を食べるのがいちばんの避暑だと思っていたが、どこのカフェも暑くてゆっくり座っていられないほどである。
6月中旬のある日、展示会取材のためソウル市内にあるCOEX展示場に行った。暑さと湿気で、室内にいるのに頭がくらくらして熱中症になりかけた。エアコンの設定を26度にしたというが、人が多すぎるので冷房効果は全く感じられなかった。
さらに、節電のため展示場の灯りを60%ほどしかつけていないので薄暗かった。照明が暗いと商品がよく見えないので、展示企業はブースごとに自前の照明を持ち込んでいた。照明が発する熱のせいで室内が暑くなるので、ブースごとにまた扇風機や冷風機(水を入れることで冷たい風が出る扇風機)を持ち込んでいた。果たしてこれで節電になっていたのだろうか。
6月から既に猛暑と戦っているのに、7月1日から「極限の節電」が始まった。原子力安全委員会が同時に2基の原発の稼働を停止したのだ。不良部品を使っていたことが5月に発覚したのを受けての措置だ。これまで以上に節電しないと、2011年のように全国が一斉にブラックアウトになる危険性が高まった。
韓国電力は、一般家庭に節電をうながすための施策を相次いで打ち出した。1つは、基準使用(2010~2012年の平均電力使用量)より30%以上節電した場合、電気代を10%割り引きする措置。さらに、Critical Peak Pricing料金制度を導入する。この料金制度では、電力消費がピークに達する7~8月のうち、予備電力量が最も少なくなった10日間の午後1~5時は電気料金を通常の3倍に値上げする。ただし、その他の時間帯は通常より20%安くする。昼間は家に誰もいない家庭だと、冷蔵庫ぐらいしか電気を使わないので自然に電気代を節約できる。
規制値を越える冷房に罰金
産業通商資源部(部は省)は7月1日から、商店に対して過怠料を課し始めた。室内温度を26度以下にしている店舗や、出入り口を開けっ放しにして冷房を稼働させている店舗を取り締まり、最大300万ウォン(約27万円)を賦課する。
サムスングループは7月1日から8月31日まで、オフィスの室内温度を28度に設定。午後2時から5時までは、社内の照明を30%に減らすことにした。エレベーターとエスカレーターの運行も最小限にする。通常期より20%節電することを目標としている。サムスングループは2012年にも、工場・オフィス・社員の家庭で5~15%節電しようとSmart Summer Saveキャンペーンを行った実績がある。
現代自動車は節電だけでなく自ら発電して電力消費を賄う計画を立てている。2013年末までに、工場の屋根21万3000平方メートルに太陽光発電パネルを設置し、10メガワットを発電する予定だ。屋根に設置したパネルの面積と屋根上での発電容量において、韓国で最大規模である。ある大型ディカウントショップは夜間、防犯シャッターを下ろした状態で出入り口をすべて開放し、涼しい空気を入れて室内の温度を少しでも下げようとしている。
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By 趙 章恩
2013年7月4
-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20130703/250589/