.
韓国ではこの頃、「消費活性化」が大きな話題になっている。韓国開発研究院が5月末に発表した年齢別消費傾向の変化に関する調査結果によると、2003~13年まで10年間、実質GDPは年平均4.1%増加したのに対し、実質民間消費は年平均3.2%しか増加していないことがわかった。全世代において消費の増加率が鈍化している。韓国開発研究院は、経済政策の立案を助けるために、韓国政府が1971年に設立した研究所である。
韓国開発研究院は、消費の増加率が鈍化しているのは、少子高齢化のため「老後生活に不安を感じる」からと分析した。老後に備えるべく、若いうちから消費を抑える傾向が強くなっているというわけだ。
寿命は延びるばかりなのに、働くことができる期間はだんだん短くなっている。専門職か公務員でない限り、60歳までサラリーマン生活を続けられる人はほんのわずかに過ぎない。早期退職や希望退職という名目のリストラにより、ほとんどの人が40代後半から50代半ばで定年を迎える。
その一方で、国民年金の資金が枯渇することが懸念されている。老後の生活を支える年金がもらえるかどうか不安が募る。
教育費がかさみ、老後に備えられない
所得が最も多いはずの40~50代は、子供の教育費にお金を使いすぎて余裕がなく、他の消費を抑えて老後の生活に備えている。韓国開発研究院によると、韓国の40代は可処分所得の約14%を教育費として使っている。米国の場合この割合は約2.1%。韓国の割合は非常に大きいと言える。このため、韓国開発研究院は今の40代は教育費のせいで老後のための蓄えをする余裕がなく、40代が老後を迎える20年後はさらに民間消費が落ち込む可能性が高いと分析した。
韓国開発研究院は、消費を増やすには教育費の過度な支出を抑えて可処分所得を増やすしかないとし、そのための対策として以下を挙げた。過剰な教育費を抑えるための教育改革と企業の採用制度の変更(大手企業に就職しないと十分な給料がもらえない、名門大学に進学しないと大手企業に就職できない、名門大学に進学するために塾や家庭教師に通う必要がある)、高齢者の経済活動支援、定年延長などである。
6月に、消費を活性化するための討論会が開かれた。参加者は学者が中心だ。「消費低迷による内需不振は、生産人口が減少する2017年以降もっと深刻な状態になる」という認識のもと、解決策として移民の受け入れ拡大、外国人観光客の誘致、外国人による韓国オンラインショッピングサイトの利用拡大などを挙げた。