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筆者が住むマンション団地は全部で1200世帯が住んでいる。韓国のマンション団地としてはそれほど大きくはない。しかし団地の周辺には24時間・年中無休でいつでも出前がとれる食堂が40店以上、個人が経営する24時間営業のスーパー――コンビ二ではない――が5店、その他にもネットカフェ、コーヒーショップ、ベーカリー、学習塾、美容院、薬局、病院が数え切れないほどある。しかし、いずれも、いつも客で賑わっているわけでない。半分ほどの店が1年ほどで入れ替わる。
OECDの2010年統計によると、韓国の経済人口に占める自営業者の割合は28.8%。2001年の36.7%よりは減ったものの、OECD平均の16%に比べて2倍以上の人が自営している。自営業者率が高い国は1位がトルコで39.1%、2位がギリシャで35.5%、3位がメキシコで34.3%。そして4位が韓国である。OECDの統計を見ると、先進国ほど自営業者率が低い。米国は7%、日本は9%だ。
「自分の店を持つのが夢だった」は夢のような話
韓国の自営業者は「自分の店を持つのが夢だった」とか、「趣味が高じてビジネスにした」という次元ではない。リストラや就職難で、食べていくために、自営業をするしかない人がほとんどだ。
リストラに遭い、失業して、退職金を元に自営業を始める。とはいえ、不景気で商売にならず、借金が増える。借金を返すために、また借金をする。増え続ける利子を返すことができず、家も店も手放して貧困層に身を落とす。
自営業者による借り入れは加速度を増しつつ拡大している。韓国銀行の統計を見ると、2012年5月末時点で、自営業者向けの貸し出しは164.8兆ウォン(約11.5兆円)、2012年1~5月の間に6.3兆ウォン(約4400億円)増えた。前年同期(3.5兆ウォン=約2500億円)に比べると2倍近い伸びだ。2012年1~5月の銀行の新規貸し出しは9.9兆ウォン(約6900億円)。自営業者による借り入れ6.3兆ウォンなので、全体の3分の2に近い。
自営業者における貸し出し延滞率は1.17%で、2011年末に比べ0.37ポイント増えた。自営業者の延滞率が1%を超えたのはこれが初めてである。金融監督院(訳者注:日本の金融庁に似た機能を持つ)、2012年は自営業者向けの貸出額がさらに増えると予測し、銀行側にリスク管理を強化するよう指示した。自営業が大変な状況にあることがよくわかる。
退職したベビーブーマーが自営業に走る
それでも自営業は増え続けている。朝鮮戦争の後、1955年から1963年に間に生まれたベビーブーマー世代710万人が、2010年から退職し始めたからだ。この動きは2018年にかけて続く。
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By 趙 章恩
2021年7月25
-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120723/234731/