[日本と韓国の交差点] 酒の上でのことはしかたない――はもうおしまい

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韓国の企業と付き合いのある日本人ビジネスマンなら、彼らとの会食や接待の席で「爆弾酒」を飲んだ経験があるのではないだろうか。爆弾酒は、1つのコップに2種類の酒を入れたものだ。例えばビール+ウィスキー、緑の瓶に入った韓国の焼酎+ビールといった具合である。なぜ爆弾酒が韓国でポピュラーなのか、についてはいろんな説がある。ビールだけだと、酔っ払う前にお腹がいっぱいになってしまう。ぎこちない雰囲気が嫌なので、みんなですぐ酔って仲良くなるため。複数の酒を混ぜて飲む方がおいしい、など。

 韓国の会社は、新入社員との面接や歓迎会で必ず「酒量」を聞く。日本ではめったに聞かなくなった「飲みニケーション」が、韓国ではまだ立派な会社文化として残っているからだ。韓国では酒が飲めないと本当につらい。会社には「酒常務(スルサンム)」という非公式の役職がある。接待の席で、役員の代わりに酒を飲み続ける役目だ。


 ビジネスの世界では季節ごとに大きな飲み会がある。「ワークショップ」という名目で取引先の人と集まり、昼は会議、夜は徹夜で酒とカラオケ――が定番である。それでも翌朝8時には会社に行って、何事もなかった顔で仕事をしている。


 ソウル市内では毎夜、酔っ払って騒いでいる人、寝ている人を見かける。外国人観光客が「街に酔っ払いがいるのはソウルの治安が良い証」と話しているのを聞いて、そんな解釈もできるのかと驚いたことがある。



たばこには厳しいが酒には寛大



 朝鮮日報は6月9日付記事で、世界で最も売れた蒸留酒はJinroと報道した。イギリスの酒類専門誌「ドリンクスインターナショナル」が世界180種の蒸留酒の販売量を調査したところ、Jinroのチャミスル(緑の瓶に入ったアルコール度数19度の焼酎)が1位だったという。1年間で6138万箱(1箱9リットル換算)売れた。チャミスルはなんと、2001年から12年連続で販売量1位を記録している。


 2位は米国のウォッカ「Smirnoff」で2470万箱。3位は韓国ロッテ酒類の「チョウムチョロム」(チャミスルと同じ種類の焼酎)で2390万箱であった。チャミスルは販売量の94%、チョウムチョロムは96%が韓国内で消費されているという。人口5000万人の韓国でこれだけ焼酎が売れているとは、韓国人の酒好きは度を超えているように見える。


 韓国ではたばこに関しては厳しい。広告は禁止、自動販売機も禁止、テレビの画面に喫煙する場面を映してはならないというルールもある。しかし酒には寛大だ。テレビで映画を放映する時も、たばこが登場するシーンは映画鑑賞の邪魔になるほどきめ細かくモザイクをかけるのに、酔っ払って暴れる場面にモザイク処理しない。



酒は犯罪を生む



 酒好きな人が多く、飲酒や酔っ払いに寛大な韓国が、ついに「酒暴」を深刻な社会問題として認識するようになった。


 「酒暴」とは酒酔暴力の略字で、酒に酔って市民に暴力を振るう犯罪を意味する。ソウル地方警察庁のキム・ヨンパン庁長は5月21日、「酒暴との戦争」を宣言。同地方警察庁は、ソウル市内31の警察署に酒暴取り締まりチームを新設した。



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By 趙 章恩

2021年6月20




-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120619/233501/

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