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2014年10月20日から11月7日まで、韓国釜山でITU(International Telecommunication Union)全権委員会議(Plenipotentiary Conference 2014)が開催されている。
ITUは無線通信と電気通信分野の国際協力、標準化と規制確立を目的に1865年設立された国際機構で198カ国が参加している。韓国は1952年、朝鮮戦争の最中にITUに参加。ITUの支援を得て通信インフラを構築した。それが今ではICT(情報通信技術)強国であると自負するまでに成長した。韓国はソウルオリンピックの翌年、1989年からITU理事国になっている。日本も1959年から理事国として参加している。
韓国のIT政策を担当する省庁、未来創造科学部(部は省)の説明によると、釜山で開催している2014年ITU全権委員会議は、ITU参加国198カ国の中のうち193カ国の政府代表約3000人が参加。このうち50カ国からの出席者は大臣クラスである。アジアでITU全権委員会議が開催されるのは1994年の東京以来、20年ぶり2度目のことだ。
韓国政府と釜山市は4年も前から「釜山でICTオリンピック(ITU全権委員会議)を開催する」と宣伝してきた。韓国メディアは連日、「ITU全権委員会議は情報通信分野でもっとも権威がある会議である。韓国がこれを誘致したことは世界ICTの中心になったことを意味する。ICTの未来ビジョン設定と政策議論を主導する国の一つになったのだ」と報道している。未来創造科学部はITU全権委員会議を盛り上げるため、例年行なわれている各種ICT展示会の開催時期と場所を変更し、10月に釜山でまとめて開催する特別措置を取ることにした。
10月20日に行われたITU全権委員会議の開会式では朴槿恵大統領が演説。「1980年、韓国の電話普及率は7%にすぎず、電気通信の僻地だった。しかし、わずか30年でITUのICT発展指数1位、国連の電子政府ランキング1位に選ばれる国に発展した。韓国は、ICTを活用した経済復興の経験とノウハウを国際社会と一緒に分かち合うことに力を入れる」と語った。
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ところが、思わぬところで問題が発生した。アフリカ地域で発生したエボラ出血熱である。釜山ITU全権委員会議には、エボラ出血熱の感染が広まったギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、セネガル、コンゴ民主共和国の政府代表団169人が参加することになっていた。
釜山市民は、これらの国の人々が釜山に大勢やってくるのは危険なのではないかと不安を訴えた。「韓国政府が水際対策を強化したとしても、空港の検疫で見つからない可能性がある。エボラ出血熱は潜伏期間が21日と長いからだ。ITU全権委員会議の参加者が釜山に到着した後に発病した場合、釜山市と医療機関はしっかり対応できるのか」。韓国メディアによる「エボラ出血熱の致死率は70%。明確な治療法はない」という報道も、釜山市民の懸念を増幅した。
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By 趙 章恩
日経ビジネス
2014年11月4
-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20141104/273329/