[日本と韓国の交差点] “雪爆弾”を“援護射撃”に

1メートルを超える雪で被害続出、冬季五輪の誘致には好機


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韓国の東海岸沿いを中心に、雪が止むことなく降り続けている。ソウルを含めほとんどの地域が氷点下10~15度の寒さの中にある。風がものすごく強いため、体感温度は氷点下20度以下。外を歩く人はみんなスキー場にいるかのような防寒状態である。目だけ外に出して歩いている状態だが、目の周りが裂けそうなほど痛い。

 筆者の住むマンションはベランダの水道が凍破して洗濯機が使えなくなってしまった。仕方なく、洗濯物は手洗いしている。雪がロマンチックに思えなくなると年をとった証拠と言うが、この寒さを体験すれば年齢に関係なく雪が嫌になるかもしれない。暖かい東京に逃げたい。


 2010年の夏は、例年は湿気のない韓国が蒸し暑くなり、記録的な暑さだった。今度は毎日のように雪が降り記録的寒さとなっている。


 2月11日には韓国の最東北地域である江原道で、たった1日で1メートルを超える雪が積もった。雪が凍りタイヤが空回りする国道で立ち往生した車が続出し、バスの乗客400人ほどが道路の上で一晩孤立する事故もあった。山で孤立して凍死した人もいるほどである。


 江原道のあちこちで、住宅や農作物を育てるためのビニールハウスが雪の重みで壊れた。その他の地域でも大雪による被害は広がるばかりである。口蹄疫で家族のように大切に育てた牛をすべて殺処分したばかりの農家が、今度は大雪で被害を受けている。韓国では「これは“暴雪”というより“雪爆弾”」であると嘆いている。



平昌が冬季五輪の誘致運動を展開



 農家の苦しみは残念であるが、雪祭りや山、スキー場は全国から集まった観光客で賑わっている。


 江原道では、今回の雪爆弾が災い転じて福となることを願っている。江原道平昌郡(ピョンチャン郡)は2018年の冬季オリンピック開催地に立候補している。


 平昌と言えば、ドラマ『冬のソナタ』のおかげで名所となった「ドラゴンバレー」をはじめ、韓国でも有数のスキー場が集まっている。山も多く、高度600メートルに位置しているせいか空気が澄んでいて、きらきら輝く雪景色はとても有名だ。冬のソナタに感動して日本、中国、台湾、東南アジアから集まった韓流ファンが、今では平昌の景色に感動して毎年観光に訪れるという。


 江原道はこの記録的な雪が、2月16日から始まるIOCの冬季オリンピック開催候補地調査に良い影響を与えるのではないかと期待している。最近は雪が少なくなり人工雪に頼る冬季オリンピック競技場が増えている中、平昌は冬季オリンピックに適した積雪量を持ち、どんな大雪でも瞬時に除雪を完了できるという優秀な環境をアピールできるチャンスと見たからだ。暴雪の中、3日間除雪を続け、IOC調査団が訪問する競技場への道路をはじめとする主な道路226キロの除雪作業を終えた。


 IOC調査団は2月14日仁川空港に到着し、20日まで平昌に滞在しながら競技場調査、記者会見などを行う予定である。



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By 趙 章恩

2011年2月16日


-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110215/218434/

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