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朴槿恵大統領を当選に導いた決定的公約――65歳以上の老人に毎月20万ウォン(約1.9万円)の基礎老齢年金を支給する――がなかったことになりそうだ。韓国のメディアは9月23日、一斉にこう報じた。朴大統領が公約した基礎老齢年金は、財源が不足のため、65歳以上全員ではなく低所得層を中心に選別して支給する方針に変わるという。
朴大統領は2012年12月の選挙運動期間中、次のように公約した。
「増税なき福祉拡大は可能だ」
「国民年金に加入していなくても高齢者が年金で生活できるよう、現在9万4600ウォン(約9000円)の基礎老齢年金を20万ウォンに増額する」
「基礎老齢年金は65歳以上のすべての国民に支給する」。
基礎老齢年金は、地上波テレビが中継した大統領候補のテレビ討論の中で、朴大統領が最も強調した公約である。野党候補らが「基礎老齢年金の財源は確保できるのか」と質問すると、朴大統領は「私が国民に選択してもらえれば(大統領になれば)実行します」と答え、高齢者から高い支持を得た。地上波放送3社が大統領選の投票日に実施した出口調査によると、50代は62.5%、60代以上は72.3%が朴大統領を支持した。
与党であるセヌリ党のファン・ウヨ代表は9月24日、ラジオ番組に出演し、こう釈明した。
「65歳以上全員に支給するというのは国民のみなさんの誤解。65歳以上の低所得層に最大月20万ウォンを支給するというのが公約」
「国家財政の範囲内で、生活が苦しい高齢者から段階的に支給するという意味であり、公約破棄ではない」
これに怒った人々がネット上で、大統領選挙当時、「65歳以上全員に月20万ウォン支払う」と宣伝したセヌリ党の資料やセヌリ党議員のTwitterのつぶやき画面をキャプチャーして証拠写真として投稿。大騒ぎになっている。
基礎老齢年金以外にも、高い支持を得た福祉公約がいくつかある、国家予算を管理する省庁の企画財政部は、これらについても財源不足を理由にすべて守るのは難しいとしている。共働き家庭を支援するため5歳までの保育費を無料にする、癌・心臓疾患・脳血管疾患・難治病の4大重症疾患治療費の全額を国が負担する、大学の授業料を半額にする、といった公約だ。
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趙 章恩2013年9月28
-Original column